【特集】JR四国3月ダイヤ改正 パターンダイヤで攻めるも最終列車は繰り上げ

最終列車繰り上げの波は四国にも

首都圏や関西圏を中心に、一部の鉄道事業者は終電を繰り上げる動きを見せていますが、JR四国も2021年3月ダイヤ改正で最終列車の繰り上げを行います。新型コロナウイルス感染症拡大による行動様式の変化により、深夜時間帯の利用が大きく減少したため、利用状況に合わせたダイヤに改定すると説明しています。なお、解説路線図の白抜き部分は、拠点駅を発車する最終列車を基準に、時刻繰り上げの影響を受ける区間を示します(特急列車を除く)。

高松駅に停車中のJR四国7200系電車
高松駅に停車中のJR四国7200系電車

高松駅からの最終列車の繰り上げ幅は、土讃線直通の琴平駅行が87分、予讃線多度津駅行が46分、高徳線の引田駅行が77分、オレンジタウン駅行が55分となっています。

琴平駅行の最終が現行の23:35発から22:08発へと特に早くなっていますが、これは、後続の列車に乗っても、土讃線の接続列車がないものと予想して算出しています。高松琴平電気鉄道(ことでん)琴平線の琴電琴平駅行は、高松築港駅の最終発車時刻が22:00なのでほとんど差がなくなります。「終列車が遅いJR」という武器を捨てることになりますが、そうも言ってられないほど人の動きが変化したと読み解くことができます。

また、観音寺駅より先の最終列車として機能している高松駅23:13発の予讃線特急「ミッドナイトEXP高松」伊予西条駅行は、ダイヤ改正を機に消滅するもようです。伊予西条方面へは53分早い松山駅行特急が最終となり、「遅くまで繁華街で楽しんで特急で悠々帰宅」というスタイルは過去の話になりそうです。

【路線図で解説】JR四国 最終列車繰り上げ(高松エリア)

松山駅発の上り最終列車は今治駅行が78分、伊予北条駅行が34分早くなり、下りは伊予市駅行が37分前倒しとなります。

松山からの深夜特急も廃止となりそうです。新居浜行の23:06発、特急「ミッドナイトEXP松山」がダイヤ改正後の時刻表には記載されていません。これにより、今治駅より先の最終列車は21時台へと大幅に繰り上がることになります。

宇和島方面の最終特急「宇和海33号」(22:49発)に相当する時間の列車も取り止められます。現行ダイヤで22:21発の八幡浜駅行普通列車が、改正後は22:49発に繰り下がるのは、特急廃止の救済策であると考えられます。

【路線図で解説】JR四国 最終列車繰り上げ(松山エリア)

徳島駅では、最終列車の時刻繰り上げ幅が板野駅行が31分、鳴門駅行30分、阿波川島駅行42分、阿南駅行23分となっています。徳島線穴吹行の最終列車は現行とほぼ変わらない時刻(徳島駅22:58発)を維持しますが、その後に設定されていた阿波川島駅行(現行23:39発、ただし2020年10月1日から運休中)が廃止となるため、近距離区間の最終列車も兼ねることになります。

【路線図で解説】JR四国 最終列車繰り上げ(徳島エリア)

高知エリアでは、土讃線上りの土佐山田駅行最終列車の高知駅発車時刻が現行の23:15から74分繰り上がります。ただし、23:15発のは新型コロナウイルス感染症の影響で2020年10月1日から運休している関係で、現時点での最終列車がすでに22:01発であるため、この体制が継続するということになります。

土讃線下りでは、須崎駅行の最終列車が22:54発へと13分遅くなり、特急列車の項で述べたように岡山・高松方面から接続できるようになります。その一方で、現行ダイヤで23:10発の伊野駅行最終列車(2020年10月1日から運休中)の設定がなくなるため、伊野駅までの各駅へは最終が16分繰り上がることになります。

【路線図で解説】JR四国 最終列車繰り上げ(高知エリア)

JR四国では、上記のほかにも特急列車および普通列車で平日・土休日の設定見直しを行ったり、時刻や行先の変更を行うことを告知しています。2021年3月のダイヤ改正は、コロナ禍が後押しした「最終列車繰り上げ」によりコストを削減しつつ、「パターンダイヤの導入」により都市圏輸送の強化を行う、これまでにないメリハリの効いたものになりそうです。