東急池上線が「木になるリニューアル」 戸越銀座駅・旗の台駅に続き今秋は長原駅も

東急池上線の駅が、木材を取り入れた温かみのあるデザインに次々とリニューアルしています。

リニューアルされまちなみとの調和が図られた東急池上線戸越銀座駅の木造駅舎(ぽせ〜どん/写真AC)
リニューアルされまちなみとの調和が図られた東急池上線戸越銀座駅の木造駅舎(ぽせ〜どん/写真AC)

池上線沿線の温かい雰囲気を駅デザインで表現しようと東急電鉄が進めているのが、木材をふんだんに活用した「木になるリニューアル」です。最初に着手されたのは戸越銀座駅で、2016年12月に大きく生まれ変わりました。1927年の開業から約90年経過した木造駅舎の内外装はリニューアルされ、外壁には戸越銀座商店街の老舗商店をイメージさせるオリジナルの駅シンボルマークとのれんが掲げられました。また、ホーム屋根の張り替えと延伸、トイレの建て替え、木製ベンチの設置などが行われています。木材を主役としたデザイン性の高さが評価され、2017年度グッドデザイン賞など9つの賞を受賞しています。

続いて2019年7月に旗の台駅がリニューアルされました。老朽化したホーム屋根が新たな温かみのある木造ホーム屋根に取り替えられたほか、待合室の改修により快適性が向上されています。また、2021年3月30日に完成した池上駅ビル「エトモ池上」では、旗の台駅と池上駅の改良工事で発生した古材「えきもく」がさまざまな場所で活用され、歴史ある木造駅の記憶が未来に継承される工夫が凝らされています。

ホームを包み込むような木造屋根にリニューアルされた東急池上線旗の台駅(ENONS/写真AC)
ホームを包み込むような木造屋根にリニューアルされた東急池上線旗の台駅(ENONS/写真AC)

2021年秋には、長原駅の「木になるリニューアル」が完成する予定です。「ちょっときになる くらしのまんなか」をコンセプトに、駅とまちが柔らかくつながる心地よい空間となることを目指しているとのことです。

戸越銀座駅、旗の台駅のリニューアルでも多く使われた、東京都多摩地域で生産される木材「多摩産材」が今回も活用されます。地上階の駅舎や東急ストア入口、改札外に新設される店舗の一部に多摩産材が使われ、木のぬくもりが感じられる軒下空間が演出されます。駅舎の外壁は緑色となり、路地に並ぶ建物との調和が図られます。また、地下階にあるプラットホームは、既存の躯体を利用しながらゲートのような意匠にリニューアルされます。

木材の活用はデザイン性だけではなく、環境に優しい点もアピールされています。長原駅リニューアルにおいて多摩産材が使用されることで、木材が吸収している二酸化炭素約1トンを固定化することができ、大気中の二酸化炭素増加を抑制することに寄与します。また、駅天井仕上げの工夫による廃棄物の削減など、地球環境に配慮した取り組みが実施されるとのことです。

なお、長原駅に新設される改札外店舗の詳細は決定していませんが、リニューアルのコンセプトに合わせ、周辺エリアの居住者が日常使いでき、地域の魅力を高めていけるような店舗を目指すとしています。