JR西日本「SL北びわこ号」の運転終了を発表 蒸気機関車の煙により感染対策の換気困難

JR西日本は、蒸気機関車けん引による観光列車「SL北びわこ号」の運転を終了すると発表しました。

2019年春季はD51形200号機が牽引したJR西日本「SL北びわこ号」(ポニー/写真AC)
2019年春季はD51形200号機が牽引したJR西日本「SL北びわこ号」(ポニー/写真AC)

「SL北びわこ号」は、滋賀県湖北地域の観光を盛り上げるために、北陸本線の米原駅〜木ノ本駅間で1995年に運転を開始しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年春季から運転が取り止められています。

運転終了の理由としてJR西日本は、蒸気機関車の煤煙の影響が少ない状態での車内換気が困難であるため、感染拡大防止の対策を十分に行える見込みが立たないことを挙げています。あわせて、部品の入手など、保守に苦慮していることから、今後の運転は終了することにしたと説明しています。実質的な最終運転日は2019年11月10日となりました。

これまで「ポニー」の愛称をもつC56形160号機、「貴婦人」ことC57形1号機がけん引機関車としての役目を務め、2019年春季には「デゴイチ」として親しまれているD51形200号機が初めて湖北路を走りました。観光列車向けに改装されていない、国鉄時代の姿のままの12系客車が使用されていたことも特筆すべき点です。終着の木ノ本駅では、さまざまなお出迎えイベントが開催されました。

JR西日本は長年の応援に感謝を伝えるとともに、湖北地域の観光振興については、地域との取り組みを継続していくとのことです。また、「SL北びわこ号」としての営業運転は終了しますが、SLの検査後の本線試運転を行う場合、これまでと同様に北陸本線を走行する予定としています。