【特集】「京カード」廃止 一日券値上げ 京都市バス・地下鉄の割引施策が全面見直しへ

磁気カード「トラフィカ京カード」は廃止

2023年4月1日からは、ICカード利用により、利用頻度が高い方が優遇される新しいポイントサービスの導入が計画されています。この新サービスに集約・移行する目的で、既存の各種割引乗車券類やサービスの一部が整理されます(詳細は下表を参照)。

京都市営地下鉄烏丸線10系電車(M.T.photos/写真AC)
京都市営地下鉄烏丸線10系電車(M.T.photos/写真AC)

「トラフィカ京カード」は、市バス・地下鉄と京都バスで共通利用できる磁気カード乗車券です。発売額の1割相当のプレミアムが付いているほか(1000円券は1,100円分、3000円券は3,300円分利用可能)、バスとバス、バスと地下鉄を乗り継いだ場合は2乗車目の運賃から120円が自動的に割り引かれる乗継割引制度もあり、日常利用に使いやすいことから市民に広く普及しています。

しかしながら、先に述べた「事業経営ビジョン」では、磁気カードやそれに対応した機器類の供給が縮小していることが指摘されています。ICサービスの拡充により置き換えられるとし、コスト削減の観点から2023年3月31日をもって京カードは利用停止となります。それに先立ち、2021年9月30日(木)をもって発売が終了となります。利用期限内の払い戻しはできませんが、利用停止後(2023年4月1日以降)は2028年3月31日までの5年間、カードの発売額から利用した金額を引いた額を手数料無しで払い戻す取り扱いが行われます。

月曜〜土曜(祝日を除く)の10時〜16時限定で利用できる12枚つづりの「昼間回数券(バス、地下鉄)」についても、2021年9月30日(木)をもって発売終了となります。バス昼間回数券については利用期限が2023年3月31日と定められ、その後は京カードと同様、5年間は無手数料で払い戻しが行われます。地下鉄昼間回数券は、有効期間が発売日の翌月から3か月目の末日と定められているため、最大で2021年12月末まで利用できます。バス、地下鉄とも、利用期限内の払い戻しについては手数料200円がかかります。なお、全日利用可能な「バス共通回数券」は、市内9事業者のすべてのバスに乗車できるシームレスな乗車券であることから、利便性の観点から発売が継続されます。

市バス・京都バスと地下鉄を乗り継ぐと京カードと同様120円の乗継割引が受けられる「バス・地下鉄連絡普通券」も廃止され、発売・利用は2023年3月31日までとなります。なお、京阪バス・京阪京都交通と地下鉄の連絡普通券については継続発売されます。

現在、「ICOCA」「PiTaPa」「Suica」など全国相互利用対応10種のICカードで市バス・地下鉄・京都バスを乗り継いだ場合、2乗車目の運賃が割り引かれます(バス〜バスは90円、バス〜地下鉄は60円割引)。観光客など普段の利用頻度が低い方にも、京都市民など日常で利用する方にも同じ割引が適用されていることから見直しの対象となり、2023年3月31日をもって適用終了となります。

また、PiTaPa限定で3,000円以上の利用者を対象に月額利用額が約9%割り引かれる利用額割引についても、後述のポイントサービスにより代替する目的で2023年3月31日をもって実施が終了されます。

【図表で解説】京都市交通局 各種割引乗車券等の廃止

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