東武“SL大樹”3機体制に 「C11-123」運転開始へ 大手私鉄初の動態復元 3重連イベントも

東武鉄道は、2019年1月から進めていた蒸気機関車(SL)「C11形123号機」の復元作業を完了し、2022年7月18日(月・祝)から「SL大樹」での営業運転を開始します。

2020年に南栗橋車両管区で実施されたSL大樹重連運転(画像提供: 東武鉄道)
2020年に南栗橋車両管区で実施されたSL大樹重連運転(画像提供: 東武鉄道)

C11形3機が揃い踏み

123号機の導入により、JR北海道で活躍していた207号機、真岡鐵道に所属していた325号機と合わせ、3両のC11形による運行体制がつくられます。同一形式のSLを3両保有する鉄道事業者は日本国内で唯一です。営業運転は「SL大樹」(下今市駅〜鬼怒川温泉駅間)および「SL大樹ふたら」(下今市駅〜東武日光駅間、東武日光駅〜鬼怒川温泉駅間)で行われ、指定席券は乗車日の1か月前から発売されます(時刻表と運転日、けん引機の運用予定は下の図表を参照)。

7月18日(月・祝)からは硬券3枚セットの「C11形123号機営業運転開始記念乗車券」が東武線の主な駅で発売されます(1セット1,000円、3,000セット限定)。併せて、7月1日(金)からは3種類の「SL大樹 C11形123号機営業運転開始記念扇子」(1本300円)が新鹿沼駅、下今市駅、東武日光駅および鬼怒川温泉駅で発売されます。営業運転に先立つ6月19日(日)には、3両のC11形を連結して運転する「SL大樹3重連イベント」が南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)で開催されます(乗車は旅行商品の購入者限定)。

今後は3機体制を活かしてSLを毎日運転するとともに、重連運転などの企画も行いながら日光・鬼怒川エリアの活性化に寄与していきたいとしています。

【時刻表で解説】東武 蒸気機関車C11形123号機の復元完了 「SL大樹」として営業運転開始

かつて滋賀と北海道で活躍

123号機の元となったC111号機は1957年(昭和22年)に製造され、当初は江若鉄道(本社:滋賀県大津市)の旅客列車をけん引していましたが、北海道の鉄道会社への移籍後は貨物列車のけん引で活躍しました。1975年(昭和50年)に廃車され、日本鉄道保存協会により静態保存されていた同機を一般財団法人東武博物館が譲り受け、東武鉄道によるボイラーの復元や車体の修復作業が始まりました。

動態保存用としてのSL復元は大手私鉄としては初めての試みです。同社はSL事業の目的に「鉄道産業文化遺産の保存と活用」を掲げており、日常の保守だけでなくSL全般の技術力向上を図る狙いもあります。なお、車両番号の123号機は東武鉄道により付番されたものです。この決定時に同社が創立123周年(2020年度)を迎えたことと、国内唯一の同一形式3機体制が実現することから、「1→2→3(ホップ、ステップ、ジャンプ)」と将来に向かってさらに飛躍する意味が込められているとのことです。