JR東海とJR四国は、10枚分の価格で購入できる11枚つづりの普通回数乗車券について、2022年9月30日(金)をもって発売を終了すると発表しました。
本文と図表に名古屋鉄道の事例について追記しました。ご指摘ありがとうございます。
コロナ禍の経営悪化も要因
利用状況を踏まえた対応としているほか、JR四国は「弊社を取り巻く経営環境の変化」にも言及し、新型コロナウイルス感染症の影響による経営悪化に伴うサービス見直しであることを示唆しています。JR東日本も9月30日(金)をもって普通回数券の発売終了をすでに告知しており、JR東日本線とJR東海線にまたがる区間も終了の対象となります。また、新京成電鉄も「ICカードの利用増加」を理由に、販売数が低下している普通回数券の発売を8月31日(水)までで終了します。
なお、購入した普通回数券は有効期限まではそのまま使い続けることができます。また、各社とも身体障害者・知的障害者用および通学用の割引回数券は発売が継続されます(回数券を発売終了した、または今後終了する各鉄道事業者のまとめは下の図表を参照)。
大手鉄道事業者として初めて回数券の発売を終了したのは2012年の名古屋鉄道(名鉄)ですが、近年では2020年12月発売終了の京阪電気鉄道を皮切りに、これまでに多くの鉄道事業者が追随しています。2021年中はJR九州、西日本鉄道(西鉄)、JR西日本、江ノ島電鉄がそれぞれ普通回数券の発売を終了し、2022年に入っても横浜市交通局が地下鉄普通回数券の発売を3月で終了したほか、小田急電鉄も回数券に準ずる「小田急チケット10」の発売を7月31日(日)で取り止めると発表しました。阪神電気鉄道も9月30日(金)をもって、自社線・他社連絡を含めた回数券の設定を廃止する予定です。
同一の運賃区間を繰り返し乗車すると、運賃の一部をポイントで還元するサービスを用意している事業者もあります。JR東日本の「Suicaリピートポイントサービス」、JR西日本の「ICOCA利用回数ポイント」などが該当し、回数券に代わる救済サービスとして設計されていますが、同様の施策を行う事業者は少数派です。今回、回数券を廃止するJR東海・JR四国・新京成電鉄では代替サービスを提供しないため、これまでの回数券利用者にとっては実質的な値上げとなります。