走るカフェ「フルーティアふくしま」運行終了へ 2015年から5万人乗車 福島復興支える

JR東日本は、列車内にカフェカウンターを設けた観光列車「フルーティアふくしま」について、2023年12月をもって運行を終了すると発表しました。

JR東日本の観光列車「フルーティアふくしま」719系電車(画像提供: (公財)福島県観光物産交流協会)
JR東日本の観光列車「フルーティアふくしま」719系電車(画像提供: (公財)福島県観光物産交流協会)

“フルーツ王国”福島を代表する列車

りんご、梨、桃、ぶどうなど、さまざまな福島県産フルーツなどを使用したオリジナルスイーツを車内で楽しめることから、「走るカフェ」として旅行者や沿線住民に親しまれてきました。引退の理由は、使用している719系車両の老朽化とされています。

「フルーティアふくしま」は、東日本大震災からの復興を柱とした大型観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせたイベント列車として、2015年(平成27年)4月にデビューしました。列車名は、車内で堪能できるスイーツに使う「FRUIT(果物)」と、基本コンセプトであるカフェをイメージさせる「TEA(お茶)」が由来となっています。赤瓦や黒漆喰壁など、建築物の質感を取り入れた外観デザインも特徴的です。

当初の運転区間は磐越西線の郡山駅〜会津若松駅間で、週末を中心に1日2往復、一般列車に併結するかたちで運転されました。2015年12月からは冬季の運転パターンとして、東北本線の郡山駅〜福島駅間での運転も始まりました。冬季の運転区間は2016年12月以降、仙台駅まで延長されています。また、2019年4月からは定期運転区間が喜多方駅まで延長され、併結を行わない単独列車として1日1往復するダイヤが組まれています。

【時刻表で解説】JR東日本 観光列車「フルーティアふくしま」の運行を終了へ

引退までイベントや企画が続々

現在、「フルーティアふくしま」は冬季運転中で、2023年3月までは東北本線の郡山駅〜仙台駅間で土休日を中心に運転します。4月以降は磐越西線の郡山駅〜喜多方駅間での運転が再開する予定です。JR東日本びゅうツーリズム&セールス(本社:東京都墨田区)が運営する「のってたのしい列車予約サイト」から、乗車日の3日前までに専用の旅行商品を購入して乗車します。

また、2023年1月〜2月の一部の日程では特別企画として、老舗果物店がプロデュースしたスペシャルなスイーツボックスを楽しめるプランや、人気イタリア料理店による食事を福島県産ワインとともに味わえるプランが用意されています。

「フルーティアふくしま」運転開始からの利用者数が間もなく5万名に達することを記念し、同列車を利用する旅行商品の購入者に“特製クッキー”をプレゼントする「5万人ありがとうキャンペーン」が2023年1月から開催される予定です。そのほかにも、限定グッズの販売やイベントなど、これまでの利用や応援に対する感謝の意を込めたさまざまな企画を運行終了に向けて展開していくとのことです。