フルリニューアル「SL冬の湿原号」釧路から出発 ストーブ付き客車が快適に 無料送迎も

JR北海道は、今シーズンで23年目を迎える蒸気機関車(SL)けん引の観光列車「SL冬の湿原号」を、2023年1月〜3月に釧網本線の釧路駅〜標茶駅間で運転します。

「SL冬の湿原号」の14系・44系客車をけん引する蒸気機関車C11形171号機(akiaji/写真AC)
「SL冬の湿原号」の14系・44系客車をけん引する蒸気機関車C11形171号機(akiaji/写真AC)

地元の熱望で20年以上運転

1940年(昭和15年)に製造されたSL「C11形171号機」は、北海道・深名線の朱鞠内機関支区に配属され、その後は瀬棚線や標津線で活躍しました。動力近代化のため全国でSLが姿を消していく中、同機も1975年(昭和50年)に廃車され、標茶町の児童公園での静態保存というかたちで長く親しまれていました。

転機は1999年(平成11年)に放映された、道内の鉄道を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「すずらん」です。同機はJR北海道苗穂工場で復元作業が行われ、留萌本線で「SLすずらん号」として復活しました。

その後、地元からの要望を受け、2000年1月から「SL冬の湿原号」としての運行が始まり、標茶町への里帰りが実現しました。迫力ある走行音を聞きながら、凍てつく冬の釧路川や釧路湿原の絶景を楽しめるのは、この列車ならではの醍醐味です。

運行開始から20年以上経過し、客車の老朽化が進んだことから、JR北海道は2001年度からSLの全般検査と合わせて約4億円を投入し、客車内のリニューアル工事に着手しました。2022年の運行から登場した「たんちょうカー」(1・5号車)は、釧路川側にはカウンター席、山側は高床化されたボックス席がレイアウトされ、どの席からも雄大な景色やタンチョウの姿などを楽しめる工夫が施されています(「SL冬の湿原号」の運転時刻、運転日など詳細は下の図表を参照)。

【時刻表で解説】JR北海道 2023年1月〜3月に「SL冬の湿原号」運転

モバイル充電・Wi-Fiも

今年からリニューアルされるのは、2号車の「カフェカー」と、3・4号車の「ストーブカー」です。14系客車「ストーブカー」は、エゾシカの角をモチーフにした荷棚、道産のタモ材を使用したテーブルなど、北海道らしさを感じられる内装となっています。腰掛生地や壁面、カーテンなどもリフレッシュされ、快適性が向上しています。旧型客車44系を使用する「カフェカー」は趣きのあるさらに懐かしい雰囲気で、グッズやカフェメニューを車内販売カウンターも営業します。


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また、2〜4号車の客室内には引き続き「ダルマストーブ」が設置され、車内販売で購入できる「するめ」を炙って楽しんだりと、自由に周りでくつろぐことができます。

そのほか、1・3・5号車のトイレは洋式化され、大型荷物置場も新設されます。1・5号車にはモバイル専用の充電コーナーが設けられ、各号車では無料Wi-Fiの利用も可能です。

フルリニューアルを終えた「SL冬の湿原号」の運転開始日は2023年1月21日(土)で、3月21日(火・祝)まで計32日間、1日1往復運転します。運転初日の釧路駅ホームでは、新型コロナウイルス感染症の影響により中止されていた出発式が3年ぶりに実施されます。

また、SL運転日に合わせて標茶駅では特産品の販売イベントが開催されるほか、標茶町内の飲食店や温泉施設などへ無料で巡回送迎する「湯めぐり&グルメ号」もSLの標茶駅停車時間に合わせて運行されます。

さらに足を伸ばしたい方は、冬季限定で運行する予約制の「ひがし北海道エクスプレスバス」を利用する手段もあります。全8路線のうち2路線は、「SL冬の湿原号」の運転日に合わせて接続するダイヤとなっており、標茶駅と川湯温泉、知床ウトロ温泉の各ホテルを結びます。公共交通機関だけで観光を楽しめるよう、途中、川湯「硫黄山」、知床「オシンコシンの滝」での下車観光時間も用意されており、レンタカーでの雪道運転が不安な方にも安心です。乗車は事前予約制で、川湯・知床の提携宿泊施設に泊まることが利用条件となります。

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