「SL銀河」最終シーズン 釜石線の観光復興支える 6月運行終了 プラネタリウムも見納め

JR東日本盛岡支社は、2023年6月に運行を終了する蒸気機関車けん引の観光列車「SL銀河」を盛り上げるため、釜石線の沿線地域と連携してさまざまなイベントを展開します。

釜石線の宮守川橋梁、通称「めがね橋」を走行する、蒸気機関車C58形239号機けん引の「SL銀河」(実生の桃/写真AC)
釜石線の宮守川橋梁、通称「めがね橋」を走行する、蒸気機関車C58形239号機けん引の「SL銀河」(実生の桃/写真AC)

宮沢賢治の世界観を列車全体で表現

東日本大震災からの復興支援と地域活性化を目的に2014年(平成26年)4月にデビューした「SL銀河」は、釜石線の花巻駅〜釜石駅間で主に春から初冬にかけて運転してきました。沿線を舞台に描かれた宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」をテーマとしてプロデュースされ、賢治の世界観や当時の雰囲気、東北の文化・自然を共有できる仕掛けが列車全体に施されています。

列車内としては世界で初となる、光学式プラネタリウムの搭載も話題となりました。現在、車内プラネタリウムは1回あたりの視聴人数が制限されていますが、多くの方が楽しめるよう、お持ちのスマートフォンでプラネタリウム映像を視聴できるサービスも提供されています。

機関車は、かつて東北地方の各線を運行した1940年(昭和15年)製の「C58形239号機」です。岩手県営運動公園(盛岡市)で長く展示保存されていましたが、「SL銀河」の運行開始に向けて復元されました。旅客車には「キハ141系」気動車が使用され、ディーゼルエンジンの出力により機関車との協調運転を行い、急勾配のある釜石線でのSL運転をアシストしています。

「SL銀河」の運行終了は、この旅客車の老朽化が理由です。キハ141系は、JR北海道が50系客車に動力を付加して製作した型式で、もともとは道内で普通列車として運行していました。余剰となった4両をJR東日本が購入し、観光仕様の内外装へと再改造して現在の姿となりましたが、原形の客車の製造から数えると40年以上が経過しています(「SL銀河」の運転日カレンダー・運転時刻、運行開始日の各駅での出発イベントなど詳細は下の図表を参照)。

【時刻表で解説】「SL銀河」の運転日カレンダー・運転時刻、運行開始日の各駅での出発イベント

1日限りで“夜汽車”特別運行も

2023年春の「SL銀河」の運行は3月25日(土)・26日(日)に開始し、釜石駅行は土曜日、花巻駅行は日曜日の運行を基本として計26日間運行されます。6月3日(土)・4日(日)が定期列車の最終運転日で、旅行商品専用の団体臨時列車として設定される6月10日(土)・11日(日)がラストランとなります。旅行商品の発売時期など詳細については決まり次第告知するとのことです。

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運行開始に先立つ2023年3月21日(火・祝)には、沿線5市町(花巻市・遠野市・住田町・釜石市・大槌町)にお住まいのご家族を対象にした「特別招待運転」が実施されます。釜石駅から花巻駅まで夕暮れ時に合わせて運行され、列車名にふさわしい幻想的なナイトクルーズを沿線から眺められそうです。

また、招待運転当日は13:00から、釜石駅1番ホームで「SL銀河」の車両展示館が開催されます。車内の公開や写真撮影、機関車の連結見学などが企画されており、出発時刻の14:49までホームからSLを間近で感じることができます。

一般運行初日の3月25日(土)・26日(日)には、花巻駅・遠野駅・釜石駅などの主要停車駅で出発イベントが開催されます。地元の方々や各地のご当地キャラクターによるお出迎え・お見送りのほか、郷土芸能の披露、プレゼント企画などのおもてなしが予定されています。

ラストシーズンのために制作された専用ロゴマークは、「SL銀河」がつないできた乗客と地域の方々との“輪”がテーマとなっています。今後は運行終了まで、「SL銀河」を活用した体験ツアーや特別イベント、オリジナルグッズ販売などが次々と展開される予定です。