2024年3月16日(土)に実施する京葉線ダイヤ改正に対し、利便性の大幅低下を懸念する沿線自治体が見直しを強く求めたことを受け、JR東日本千葉支社は内容を一部変更すると追加発表しました。
JR東日本の支社長が千葉市長に2度の直接説明
2023年12月15日(金)に報道発表されたダイヤ改正の概要によると、京葉線では日中時間帯を除いて快速列車の設定をすべて取り止め、通勤時間帯を中心に各駅停車のみの運転に切り替えるとしていました。これにより、快速が通過する途中駅の乗車機会が1日あたり30回以上増え、全体として利便性が向上するとの例も掲げられていました。
しかしながら、停車駅の少ない通勤快速も含めて直通列車が設定されている外房線・内房線沿線からの利用者にとっては、所要時間の大幅な増加によるデメリットが目立つ内容です。千葉県の熊谷俊人知事や千葉市の神谷俊一市長は定例会見やSNSで反対の立場を相次いで表明し、JRに対して説明の場を設けることを要望しました。
千葉支社の土澤壇支社長は2023年12月28日(木)に千葉市役所を訪問し、列車種別によって差がある混雑率を平準化する狙いなど、新ダイヤの策定に至った理由を説明しました。神谷市長は「蘇我駅や以南・以東の利用者の利便性、幕張新都心をはじめ沿線の経済活動に甚大な悪影響を与えるもので承服できない」と、改めて撤回と再考を申し入れました。
土澤支社長は、指摘を踏まえてこれから何ができるかを検討したいといったん持ち帰り、年が明けた2024年1月15日(月)に再び千葉市役所を訪れました。非公開の会談を終えた神谷市長は、各駅停車化を計画していた早朝の上り快速列車について、一部を快速に復元するとの説明を受けたと明らかにしました。
(京葉線ダイヤ改正により各駅停車化される通勤快速、快速として存続する列車の時刻など詳細は下の図表を参照)
「悪影響は解消できない」さらなる見直し求める
千葉支社は翌日、外房線の上総一ノ宮駅と内房線の君津駅をそれぞれ6時台に出発し、東京駅に7時台に到着する計2本の列車について、京葉線内は現在と同様に快速列車として運転するという見直し内容を公表しました。各駅停車から快速に戻すのはこの通勤ピーク前の2本のみで、朝夕ピーク時の通勤快速や、夕夜間の快速については当初の発表どおり、各駅停車に置き換えるとしています。
ダイヤ改正の発表後、自治体からの要望に応じて内容を部分的に修正することは極めて異例のことです。神谷市長は、申し入れを受け止めて検討してもらったことには感謝を示しつつも、悪影響を解消できない非常に限定的な見直しであり、納得していないとの考えです。熊谷知事も同様の見解で、朝夕の速達性に配慮したさらなるダイヤの見直しを早期に実現することをJR側に求めるとしています。
神谷市長によると、千葉支社長から「速やかに次のダイヤ改正の検討に入り、実施時期についても1年を待たず柔軟に検討したい」との発言もあったとのことで、京葉線ダイヤにまつわる動きは今後も尾を引きそうです。
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