泉北高速鉄道は、2023年夏から営業運転を開始する新型通勤車両「9300系」を導入するとともに、イメージ統一のため既存車両のラインカラーを順次変更します。
大きい荷物を置ける「多目的スペース」
同社の通勤車両は、2007年(平成19年)に登場した7020系以来、約16年ぶりの新形式です。2014年(平成26年)に南海電気鉄道が子会社化してからの通勤車両では初の新型となります。泉北高速は5000系以降、独自に設計した車両の導入を続け、相互直通先の南海沿線で異彩を放っています。今回は投資額の抑制のため方針変更し、南海が導入を続けている8300系をベースとした車両となります。
内外装は泉北高速の車両として親しまれているデザインにアレンジされ、ベース車とは異なる印象に仕上げられます。外装デザインには、泉北高速が1971年(昭和46年)の開業から採用し続けている「ブルー」のラインカラーと、既存の通勤車両で車体色として使用している「アイボリー」の2色が取り入れられます。内装には木目柄が多く用いられ、「落ち着きとやすらぎの空間を演出」したとのことです。座席には既存車両に合わせた赤系のカラーが採用され、泉北らしさを表現したものとなります。
すべての人が快適に乗車できるよう、バリアフリー面を中心に設備の充実が図られています。「車いす・ベビーカースペース」には床面にピクトグラムが大きく表示され、ひと目で分かる工夫が施されています。優先座席にも床面表示が追加されるほか、他の座席と異なる色とすることで識別しやすくなっています。また、出入口ドア脇の一部区画は「多目的スペース」とされ、キャリーバッグなどの大きい荷物や、ベビーカーが利用しやすいよう広めのスペースが取られています(9300系の車内イメージなど詳細は下の図表を参照)。
既存車両のラインカラーも刷新
停車駅などの情報を表示する車内案内表示器は液晶ディスプレイ式で、4か国語での案内に対応したものになります。保温性・遮熱性の向上のため、客室の窓は出入口ドアを含めて複層ガラスが用いられます。また、安心して利用できるよう、座席や吊り手、手すり、窓など車内全般に抗ウイルス・抗菌加工が施されます。
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機能面では環境配慮が重視され、車内照明、前照灯を含めすべての灯具にLEDが採用されています。エネルギー効率が高い機器の導入効果と合わせ、消費電力は従来車両(3000系)と比べて約50%低減されます。そのほか、走行用モーターには遮音性が高い「全閉内扇形主電動機」が採用され、車内外の騒音低減も図られます。
9300系は4両編成2本の計8両が製造され、2023年夏から難波駅〜和泉中央駅間で営業運転を開始する予定です。
なお、今回の導入に合わせ、既存の通勤車両を含めてラインカラーの統一を図っていくことも併せて発表されました。5000系、7000系、7020系の3形式が対象で、「ライトブルー」の塗色が廃止され、9300系と同様に「ブルー」のラインカラーのみに順次変更していくとのことです。