“盛岡の交通を便利に” 田沢湖線「前潟駅」開業 ダイヤ改正 東北本線・IGR直通列車増加

JR東日本とIGRいわて銀河鉄道は2023年3月18日(土)にダイヤ改正を実施し、田沢湖線の盛岡駅〜大釜駅間に「前潟(まえがた)駅」を開業するほか、盛岡近郊エリアで朝の通勤・通学時間帯の利便性を向上させます。

田沢湖線などで運行しているJR東日本701系電車(M.T.photos/写真AC)
田沢湖線などで運行しているJR東日本701系電車(M.T.photos/写真AC)

「イオンモール盛岡」に隣接

前潟駅は、公共交通を充実させることにより自家用車の利用を抑制する政策をとっている盛岡市が主導して整備した新駅です。市内の道路網計画は戦前に決定されたものもあり、公共交通のあり方も含めた再検討が必要ではとの問題意識が背景にあります。市の「もりおか交通戦略」で駅設置の方向性が示され、駅に隣接する商業施設「イオンモール盛岡」を運営するイオンモール(本社:千葉市)とも連携して計画が進められてきました。

2023年3月18日(土)始発列車から営業を開始する前潟駅は、4両編成対応のホーム1面による無人駅で、待合室やスロープが設置されます。駅前広場にはタクシー待機所や一般車降車場のほか、バリアフリー対応トイレも整備されます。

開業当日は駅前広場で開業セレモニーが催され、盛岡の夏祭りで有名な「さんさ踊り」が披露されます。また、イオンモール盛岡では開業記念イベントとして、特設会場で鉄道関連グッズを購入した方に前潟駅の「駅カード」をプレゼントする企画が予定されています。

前潟地区は近年、市街地化が進行しており、駅開業により地域住民や買い物客の利便性向上が期待されています。5月27日(土)からは、前潟駅を含む北東北3エリアで「Suica」のサービスが始まり、ICカードやスマートフォンでの乗降に対応します。また、将来的にはバス路線を再編し、鉄道との乗り継ぎができる交通結節点として活用していく計画もあります。

新駅開業により利用者の増加が見込まれる田沢湖線では、朝7時台に雫石駅発・盛岡駅行の上り列車1本(平日のみ運転)が増発されます。前潟駅から盛岡駅へ向かう場合、朝の通勤・通学時間帯はおおむね30分に1本の列車が利用できます(朝時間帯の東北本線・IGRいわて銀河鉄道線の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。

【時刻表で解説】朝時間帯の東北本線・IGRいわて銀河鉄道線の運転時刻

休止中の山田線「平津戸駅」は廃止

盛岡近郊では田沢湖線のほか、特に利用が多い東北本線の日詰駅以北、IGR線の滝沢駅以南を中心に、平日朝時間帯の利用が便利になります。東北本線の矢幅駅〜盛岡駅間で1往復、IGR線の盛岡駅〜滝沢駅間では2往復の列車がそれぞれ増発されます。併せて、盛岡駅での乗り換えが不要な東北本線・IGR線の直通列車は、現行ダイヤの5本から9本(下り4本・上り5本)へと増えます。

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盛岡駅発着で釜石線と直通運転を行っている快速「はまゆり」のうち、昼間時間帯の上下各1本については、東北本線内で通過運転を行わず、各駅に停車するようになります。これに伴い、前後の時間帯に日詰駅〜盛岡駅間で区間運転を行っている普通列車1往復が削減されます。これらをはじめ、朝時間帯に水沢駅始発で設定されている快速「アテルイ」盛岡駅行など、合わせて5本の列車が東北本線の一ノ関駅以北で運転取り止めとなります。

IGR線内では、昼間時間帯に盛岡駅〜滝沢駅間で1往復が増発され、列車の空白時間が是正されるほか、いわて沼宮内駅以北でも列車の等間隔化が図られます。一方、夕方時間帯にはいわて沼宮内駅以北で1往復の列車が削減されるなど、運転体系が見直されます。

JR東日本のその他の路線では、北上線と釜石線で夜時間帯の一部列車が運転取り止めとなります。また、山田線の平津戸駅は、今回のダイヤ改正日の2023年3月18日(土)をもって廃止されます。同駅は「利用が極めて少ない」とのことで、2022年3月12日のダイヤ改正から全列車が通過扱いとなっています。