JR九州は、梅雨前線による連日の大雨の影響により大分県内の久大本線で複数の線路災害が発生したため、一部区間で当分の間、列車の運転を見合わせてバス輸送に切り替え、復旧作業を実施します。
20年・21年に続いてまた線路寸断…
大分県の災害警戒本部が7月5日(水)にまとめた県内の被害状況によると、2023年6月30日(金)から降り続いた大雨により1人が行方不明となり、日田市、由布市などで合わせて6件の建物が被害を受けました。地すべりやがけ崩れなどの土砂災害も発生し、道路も一時は59箇所で通行止めなどの規制が行われました。
JR九州によると、久大本線の豊後森駅(大分県玖珠町)〜由布院駅(大分県由布市)間では7月3日(月)時点で合計20件の被災が確認されています。このうち、線路に敷き詰めている石が流れ出る道床流出が7件、線路脇の斜面が崩壊した切取崩壊が3件発生しています。その他の10件には線路冠水や築堤崩壊などが含まれます。
野矢駅〜由布院駅間の被災箇所の写真には、線路に覆い被さる斜面からの多量な土砂や岩石、濁流により線路下の石が流されて線路が浮いたような状況が写し出されています。
これらの復旧には時間を要するため、同区間でしばらく列車の運転が取り止められます。運転再開時期は7月下旬と見込まれていますが、今後の天候や作業の状況により前後する場合があるとしています。
久大本線では近年、自然災害による線路寸断が相次いで発生しています。2020年7月の豪雨では豊後中村駅〜野矢駅間の橋りょうが流出するなど全部で145件の線路被害が起き、復旧まで約半年を要しました。翌2021年8月にも大雨の影響で杉河内駅〜北山田駅間の橋りょうで軌道変状が発生し、一部区間で約1か月間の運転見合わせを余儀なくされました。
(久大本線の災害発生状況と被災箇所の写真、当分の間の特急「ゆふ」の時刻表など詳細は下の図表を参照)
バスの運転本数は少ないので注意
不通区間の豊後森駅〜由布院駅間では7月5日(水)から当分の間、臨時ダイヤによるバス輸送が実施されます。区間内の恵良駅、引治駅、豊後中村駅および野矢駅でも乗降できますが、野矢駅の停車場所は駅から約500m離れた県道上となります。
バスの運転本数は豊後森駅発の下りが5本、由布院駅発の上りが6本で、朝時間帯と夕方から夜の時間帯に限られています。バスは乗車区間を含む定期券、回数券、普通乗車券で利用できますが、定員制のため乗車できない場合もあります。
そのほか、日田駅〜豊後森駅間は列車本数を減らしての運転、由布院駅〜大分駅間では通常ダイヤによる運転が行われます。特急「ゆふいんの森」(「ゆふ73・74号」を含む)については当分の間、全列車が運休となります。特急「ゆふ」は7月3日(月)から博多駅〜日田駅間に運転区間を短縮して時刻表通りに運転しており、由布院駅〜大分駅・別府駅間では「ゆふ」の臨時列車が設定されています。
博多・久留米方面から由布院へ出かける際は、小倉駅経由の特急「ソニック」などで別府駅または大分駅に向かい、臨時特急「ゆふ」などに乗り換えて由布院駅まで行くようJR九州は呼びかけています。不通区間を走るバスの運転時間帯や定員に限りがあり、日田駅〜豊後森駅間も本数が少ない普通列車のみの運転と、少なくとも数週間は久大本線の利用が不便な状況が続きます。
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