長崎本線と佐世保線の分岐駅として知られる肥前山口駅は2022年秋頃、駅名を「江北」駅(こうほく)に変更します。
この改称は佐賀県江北町(こうほくまち)が要望していたもので、2022年秋頃の九州新幹線西九州ルート(武雄温泉駅〜長崎駅間)開業の同日に実施されます。駅周辺地域のにぎわいづくりなど、駅を活用した街づくりの一環として、また、町の認知度向上を図りたい江北町の要望を受け、JR九州がそれに応えるかたちとなります。江北町議会では、駅名変更に関するJRへの負担金540万円が計上された一般会計予算案が提出され、2021年3月17日に可決されています。
JR九州は、具体的な駅名変更日は決まり次第、別途告知するとしています。
肥前山口駅は1895年(明治28年)、当時の九州鉄道が旧山口村に「山口」駅として開業しました。その後国有化され、山口県山口市に同名の駅ができることに伴い、1913年(大正2年)に現在の駅名に変更されています。現在は特急「かもめ」「みどり」「ハウステンボス」が停車し、佐賀・博多方面と長崎方面、佐世保方面をつなぐ交通の要所となっています(路線図は下図を参照)。
一方、自治体の変遷としては、1932年(昭和7年)に山口村・小田村・佐留志村の合併により旧江北村が誕生し、1952年(昭和27年)の町制施行により江北町となっています。現在の駅の所在地は江北町山口です。
このように、「肥前山口」の駅名は町名よりも長い歴史があり、愛着のある駅名の変更には慎重な意見もありました。町が推進する駅名変更に反対する町民らは有志の会を結成し、町に改称の中止を求める請願書を提出していましたが、町議会で反対多数により不採択となっています。