【特集】東海道・山陽新幹線の鍵は「3分」の速達化 3月13日ダイヤ改正

新幹線史上初! 広島発「のぞみ」9時台に東京着

東海道新幹線での「のぞみ」速達化は、山陽新幹線エリアにも効果をもたらします。

広島駅または福山駅から乗車して、朝9時台に東京駅に到着する初めての列車が誕生します。広島駅発の上り始発列車「のぞみ88号」は、東海道新幹線内で3分速達化します。さらに、広島駅の発車時刻が3分繰り上がるため、東京駅の到着時刻は現行ダイヤよりも6分早い9:57になります(下表を参照)。

【図表で解説】広島始発「のぞみ」 東京到着9時台に

また、下り列車では、西明石駅・岡山駅への最終列車となる「のぞみ113号」、新神戸駅・姫路駅への最終列車となる「のぞみ115号」は、東京駅の発車時刻がそれぞれ3分繰り下がります。東海道新幹線内での速達効果により、新大阪駅以降の到着時刻は現行ダイヤのまま変わりません(下表を参照)。

【図表で解説】岡山・姫路行最終「のぞみ」 東京発車3分繰り下げ

山陽新幹線「こだま」に使用されるJR西日本500系
山陽新幹線「こだま」に使用されるJR西日本500系

山陽新幹線の運転見直しは前倒しで実施

山陽新幹線では、岡山以西を運行する上下計8本の「こだま」について、運転日の見直しや、全区間もしくは一部区間運休などが行われます(下表を参照)。

当初は3月13日(土)ダイヤ改正で実施される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により利用状況が悪化したため、JR西日本はこれらの見直しを2月1日(月)に前倒しで実施するという異例の事態となりました。

【図表で解説】山陽新幹線「こだま」 運転見直し

3月13日(土)ダイヤ改正ではそのほか、東海道・山陽新幹線直通の「のぞみ」臨時列車が11本(下り5本、上り6本)増えます。これにより、定期列車を含めた直通「のぞみ」を1時間あたり最大6本運転できる時間帯が拡大されます。

東海道新幹線では、夜間の下り「こだま」の運転間隔が改善されます。「こだま807号」の東京駅発車時刻が6分繰り上がり、20:51発となります。これにより、前後の「こだま」との間隔が現在の「30分・18分」から「24分・24分」へと平均化され、通勤などの利用が便利になります。

山陽新幹線では、下り新大阪駅発の「ひかり591号」博多駅行が新たに東広島駅に停車(7:41発)します。東広島駅における朝時間帯の運転間隔が改善され、広島方面への通勤・通学が便利になります。

東海道・山陽新幹線の最新鋭車両N700系「N700S」
東海道・山陽新幹線の最新鋭車両N700系「N700S」

コロナ禍でもブレない「3分」の地道な改善

前回の東海道新幹線ダイヤ改正では、すべての「のぞみ」が最高速度285km/hの「N700Aタイプ」車両に統一されました。それにより、所要時間の短縮とパターン化が行われ、1時間に片道最大12本を運転できる「のぞみ12本ダイヤ」が実現しました。

今回のダイヤ改正はそれをさらに磨き上げ、速達タイプの「のぞみ」が来る確率をできるだけ高める工夫が施されています。コロナ禍により需要の動向が不透明で列車本数は増やせない中、わずか3分の短縮により少しでも利便性を高めようという思いが、利用者にじわり伝わることを期待します。