「パン」や「お花」のサブスクもラインナップ
「パンスク」(パンフォーユー提供)は、全国どこかのパン屋さんのパンが自宅に届く定期便です。独自開発された「パンを入れる袋」と「冷凍するタイミング」により、パンは焼きたての状態で冷凍配送され、1か月以上の長期保存が可能です。TuyTuyからは初回1,000円引きクーポンが配信されます。「パンスク」に初めて登録する方で、5月12日(水)以降に登録した場合に限り割引が適用されます。
花の定額制サービス「ハナノヒ」(日比谷花壇提供)は、スマートフォンアプリでプランを購入し、店舗でQRコードを読み込むだけで毎月決まった分のお花を受け取ることができるサービスです。受け取れる店舗は全203店舗で、東急線沿線ではHibiya-Kadan Style 渋谷ヒカリエShinQs店、日比谷花壇 セルリアンタワー東急ホテル店、WONDER FLOWER 自由が丘店、日比谷花壇 そごう横浜店などが利用できます。6月中にTuyTuyで配信予定のクーポンを利用し、「ハナノヒ」に新規で会員登録した場合に限り、月6回まで1回1本、対象の切り花を店舗で受け取れるサービスを1か月間利用できます。
そのほか、東急線全線が1日乗り放題となるデジタルチケット「TuyTuyワンデーパス」(東急線全線一日乗車券)の不定期での配信も予定されています。
TuyTuyは結局おトクなの?
先述のとおり、TuyTuy第1期実証実験中の5月〜6月は利用料無料ですが、7月は月額500円の利用料が発生します。利用できる6つのサービスのうち、「パンスク」「ハナノヒ」の割引は初回利用時のみとなるため、シェアリングサービス「充レン」「LUUP」「アイカサ」をどれくらい利用するかが対価に見合うかどうかの判断基準となりそうです。
また、比較的わかりやすい特典と言える「TuyTuyワンデーパス」が不定期配信としか発表されておらず、どのタイミングで利用できるのかが今時点では判明しないのは少々もどかしいところです。
いずれにしても、6月までの無料期間中の利用については損する要素はありません。東急線PASMO定期券を利用中の方はとりあえず登録し、各種サービスが自分にフィットするかどうかお試し利用してみるのが得策でしょう。
別の観点になりますが、TuyTuyで利用できるサービスは、「所有」ではなく「シェア」する考え方であったり、「フードロス削減」「緑を増やす」といった環境配慮型のサービスが選ばれています。省エネ車両の導入などで、脱炭素などのエコロジーと常に向き合ってきた鉄道会社らしい切り口と言えます。廃棄物を出すことなく資源を循環させる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への転換に関心を持ち、少しでも貢献したいと考える人にとっては共感でき、心を満たしてくれるサービスになり得るでしょう。
「定期券離れ」はストップできるか
ところで東急グループでは、定期券所持者を主なターゲットとした実証実験サービス「DENTO」を4月28日(水)まで実施しています。DENTOが提供するメニューは、「動くシェアオフィス」ことWi-Fi完備の通勤バスや、都心から自宅へ贅沢に帰宅できる「相乗りハイヤー」など多岐にわたりますが、1回の利用単価が少々高いサービスが中心となっていました。東急線利用者からは、「自分には関係のないサービス」だという評価が少なからずあったのは事実です。
DENTOで蓄積された購買・利用データの分析結果は、TuyTuyのメニュー開発に生かされているとのことです。TuyTuyが繰り返し利用できる普段使いのサービス中心に構成されているあたり、ニーズに合わせて軌道修正が図られているように見えます。
東急電鉄では、今後も業界の枠を超えてさまざまな業種との新規協業を進めるとともに、自社が保有する駅スペースの有効活用なども検討していくとしています。新型コロナウイルス感染症をきっかけにテレワークが従来の想定を超える速さで普及し、通勤定期券を手放す人が増えているとも伝えられています。「定期券の新たな付加価値を開発する」という、コロナ禍前の首都圏鉄道会社にとっては考える必要すらなかったテーマですが、東急はそこにあえて果敢に挑んでおり、次の一手には否が応でも注目が集まります。