【特集】近鉄が7月3日ダイヤ変更で前例なき減便 終電繰り上げや普通列車半減の区間も

普通列車が1時間に1本となる区間も

7月3日(土)ダイヤ変更では、各路線とも郊外区間を中心に、普通列車の運転本数が見直されます(詳細は下表を参照)。

大阪線では、名張駅〜伊勢中川駅間を区間運転する普通列車のうち、昼間時間帯の毎時1本が運転取り止めとなります。これに伴い、昼間に「青山峠越え」する一般列車は大阪上本町駅〜伊勢方面の急行列車のみとなり、利用駅によっては1時間あたりの本数が現行ダイヤの2本からダイヤ変更後は1本へと減少します。

橿原線では、昼間〜夜間時間帯に大和西大寺駅〜天理駅間を直通運転する普通列車について、一部列車を除き天理線内の折り返し運転に変更されます。このため、大和西大寺駅〜平端駅間で普通列車の本数が少なくなります。また、田原本線では、毎時2本の運転となる時間帯がおおむね昼間の全時間帯に拡大します。

近鉄田原本線8400系電車(ジュンP/写真AC)
近鉄田原本線8400系電車(ジュンP/写真AC)

名古屋線では、昼間時間帯に近鉄四日市駅〜津新町駅間を運転する普通列車毎時1本について、運転区間が近鉄四日市駅〜塩浜駅間に縮小されます。志摩線では、鳥羽駅〜賢島駅間で昼間時間帯における普通列車の運転本数が毎時2本から1本へと半減します。

南大阪線では、古市駅〜橿原神宮前駅間運転の昼間時間帯の普通列車が毎時2本削減されます。あわせて、昼間の急行列車が区間急行に種別変更され、尺土駅〜橿原神宮前期間の各駅に停車することにより、運転本数の減少をカバーします。また、御所線では昼間時間帯の普通列車が毎時4本から2本へと見直されます。

【図表で解説】近鉄 2021年7月3日(土)ダイヤ変更 昼間時間帯の見直し

近鉄は関西・中京エリアにまたがる2府5県に501kmの路線網を有し、JR以外の鉄道事業者では最長の座を誇ります。第3セクター化された区間を除く現存の路線では、どんな閑散区間においても一般列車が1時間あたり2本以上確保されるダイヤが長年組まれており、これを守ることは近鉄のダイヤ作成上の鉄則であったと思われます。今回のダイヤ変更においてはこの法則が破られ、停車する列車が1時間間隔となる区間が発生します。コロナ禍が引き金となっていることは間違いないですが、今回のダイヤ変更は、近鉄ダイヤの変遷を見ていく上での大きな転換点となります。

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