【特集】昼間の本数が約2/3に 京阪9月ダイヤ変更 プレミアムカー連結「快速急行」が鍵

テレワーク浸透で朝夕ラッシュ時も減便

最初に紹介した京阪線の輸送人員増減率を見ると、朝夕ラッシュ時にも約20%の減少(2019年比)が見られます。新型コロナウイルス感染拡大を契機とした時差出勤やテレワークの普及などが背景にあると考えられており、9月25日(土)のダイヤ変更ではラッシュ時間帯の運転本数にもメスが入れられます(詳細は下表を参照)。

平日朝7時〜8時台に京橋駅に到着する下り列車(淀屋橋駅行・中之島駅行)の運転本数は、現在の63本からダイヤ変更後は58本となり、5本削減されます。他社を含めた近年の関西圏のダイヤ改正を鑑みても、最も利用客の多い朝ラッシュ時間帯に減便が行われるのは異例と言えます。コロナ禍による通勤需要の変化は他社においてもそう大きくは変わらないの思われるので、朝ラッシュ時の需給バランスの調整に京阪がいち早く乗り出したと見るのが適切でしょう。

平日夕ラッシュ時間帯を含む17時〜20時台にも減便が行われ、運転間隔は現行の10分から12分に広がります。22時台の列車も削減され、12分間隔から15分間隔へと見直されます。これらの時間帯は、交野線および宇治線においても運転間隔が同程度に調整されます。

【図表で解説】京阪 2021年9月25日(土)ダイヤ変更 京阪線 ラッシュ時間帯の変更点

このように、ラッシュ時の一般列車が減便される一方で、全車両座席指定の「ライナー」列車は朝夕ともに増発されます。朝の下り淀屋橋駅行列車は、現行ダイヤの4本(出町柳駅・三条駅・樟葉駅・枚方市駅始発が各1本)から5本(樟葉駅始発を1本増発)に増強されます。夕方〜夜の上り淀屋橋駅発 出町柳駅行ライナーは、現行の2本から倍増の4本体制となります。追加料金を支払ってでも座ってゆっくり通勤できるウィズコロナの時流に乗ったサービスということで、前述のプレミアムカーと同様、京阪が注力していることがわかります。

萱島駅に停車中の京阪2200系電車(左)と通過する6000系電車(Kazugram/写真AC)
萱島駅に停車中の京阪2200系電車(左)と通過する6000系電車(Kazugram/写真AC)

終電時刻は約20分繰り上げ

9月25日(土)ダイヤ変更により平日・土休日ダイヤとも、京阪線各線で最終列車の時刻が最大20分程度繰り上がります(時刻表は下表を参照)。

淀屋橋駅発の上り最終列車となる萱島駅行 普通は、現行ダイヤの0:22発から変更後は0:02発となり、20分繰り上がります。現行ダイヤで0:20発の樟葉駅行 深夜急行は、0:00発の樟葉駅行 快速急行に置き換えられ、深夜急行の種別名が消滅します。

出町柳駅発の下り列車は、現在の最終列車の0:19発 淀駅行 普通が変更後は23:57発に22分繰り上がります。その後続列車として0:06発の淀駅行 急行が新たに設けられ、これが下り最終列車となります。中之島線、交野線および宇治線でもおおむね20分程度、終電時刻が繰り上げられます。

なお、緊急事態宣言の発令等により、4月30日(金)以降、現在も京阪本線で深夜時間帯の一部の列車が運休となっていますが、それに伴う最終列車の繰り上げとは異なる内容となります。

【時刻表で解説】京阪 9月25日(土)ダイヤ変更 終電繰り上げ

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