【特集】JR北海道 2022年春ダイヤ見直し概要 新型車両「261系」「H100形」積極投入

特急列車は引き続き輸送力削減

2021年3月のダイヤ見直し以降、札幌駅〜旭川駅間の特急「カムイ」4本が土休日のみ運転の臨時列車となりました。2022年春のダイヤ見直しでは利用状況に合わせて、運転日のさらなる縮小が検討されています。なお、これらの列車は2021年6月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により現在も運転見合わせが続いています。

また、同区間の特急「ライラック」2本については、30分前または後の列車で代替可能として臨時列車化され、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの繁忙期に限定した運転となります。

そのほか、2021年3月のダイヤ見直しにより指定席が1両減車されたばかりの札幌駅〜釧路間の特急「おおぞら」ですが、利用が減少する時期(4・5・10・11月の平日など)に自由席を2両から1両に減車し、4両編成で運転することが計画されています(詳細は下表を参照)。

【図表で解説】JR北海道 2022年春ダイヤ見直し 特急「おおぞら」閑散期に減車

ローカル輸送の見直しと駅廃止も

札幌圏では、通勤・通学利用が減少する土休日に普通列車10本程度の運転が取り止められ、輸送力の適正化が図られます。また、学園都市線では日中および夕通勤時間帯の運転本数や編成両数が見直される予定です。

札幌圏以外でも計20本程度の普通列車が見直されます。編成両数の削減が検討されているのは、函館本線(函館駅〜森駅間、岩見沢駅〜旭川駅間)、室蘭本線(苫小牧駅〜岩見沢駅間)、日高本線、根室本線(新得駅〜池田駅間)および宗谷本線(旭川駅〜名寄駅間)です。また、函館本線(函館駅〜森駅間)では一部の列車が土休日運休となる見込みです。

2021年3月には利用の少ない18駅の廃止が行われましたが、利用状況を踏まえ、2022年春にも7つの駅について廃止する方向で検討されています。具体的な駅名は公表されていませんが、極端に利用が少ないとされる函館本線の5駅と宗谷本線・花咲線の各1駅が対象となっており、関係自治体との話し合いが行われています。

2021年3月13日付で廃止された宗谷本線紋穂内駅に到着するJR北海道キハ57形気動車(u***********************p/写真AC)
2021年3月13日付で廃止された宗谷本線紋穂内駅に到着するJR北海道キハ57形気動車(u***********************p/写真AC)

新型コロナの影響は底打ちで攻めに転換か

JR北海道の試算では、2022年春のダイヤ見直しで行う減便や減車により、年間約7千万円の動力費が節減ができるとしています。人件費や清掃費など精査中の項目もありますが、駅の廃止による約1千万円と合わせて少なくとも年間で約8千万円の固定費節減が見込めるとのことです。

ちなみに、2021年3月のダイヤ見直しでは、特急・普通列車ともに運転本数が大きく削減されたことに加え、先述の18駅廃止の効果もあり年間約6億2千万円の経費節減が図られました。これと比べると2022年春の経費節減効果は小規模なものとなっており、数字上では底打ち感が見られます。

北海道新幹線や新千歳空港駅の直近の利用者数は、長引く外出自粛が打撃となり2019年比で2割〜4割程度に落ち込んでおり、鉄道事業の継続が懸念される状況であることは変わりありません。しかし、コロナ禍で2回目となる2022年春のダイヤ見直しでは、列車本数や駅の見直しは極力抑えられ、新型車両や新駅開業によるサービス改善といった「攻め」の話題が前面に語られています。

速達性や快適性など、鉄道本来の魅力を着実に磨き上げることにより、北の大地で選ばれる交通機関として再び息を吹き返すことを目指しているようです。これからのJR北海道の動きに注目です。