京急「特殊割引」を縮小 空港線の価格逆転が解消へ 都営・京成線から羽田空港は値上げ

京浜急行電鉄(京急)は、京成線・都営地下鉄線方面と羽田空港各駅の相互間に適用している「空港連絡特殊割引」の割引額を見直します。

京急1000形電車(りっくん_/写真AC)
京急1000形電車(りっくん_/写真AC)

新型コロナウイルス感染症の影響により利用者数が大きく減少し、厳しい経営環境に置かれているとのことです。一方で、2019年10月には空港線における「加算運賃」が120円引き下げられ、羽田空港駅利用の際の運賃値下げが実施されました。今回の割引額見直しは、これらの状況を勘案して実施するとしています。

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「空港連絡特殊割引」の見直し対象区間は、京成線各駅および都営地下鉄各駅から羽田空港第1・第2ターミナル駅または羽田空港第3ターミナル駅の相互間です。きっぷまたはICカード乗車券で乗車した場合、現行制度では普通運賃から大人60円・小児30円(対成田空港駅・空港第2ビル駅は大人90円・小児50円)が割り引かれますが、見直し後は割引額が10円縮小され大人50円・小児20円(同大人80円・小児40円)となります。見直し実施日は2022年3月12日(土)です。なお、定期券の利用者には「空港連絡特殊割引」の適用はありません。

例として、都営地下鉄日本橋駅〜京急線羽田空港第1・第2ターミナル駅間をICカードで利用する場合、現行運賃は大人452円・小児226円ですが、3月12日(土)以降は大人462円・小児236円となり、それぞれ10円の値上げになります(主な駅間の普通運賃は下表を参照)。

【図表で解説】京急 2022年3月12日(土)から「空港連絡特殊割引」の割引額縮小

今回の割引額見直しに併せ、京急電鉄は企画乗車券「羽田みらいきっぷ」について、発売実績等を考慮して2022年3月11日(金)をもって発売を終了します。このきっぷは、空港線4駅(糀谷駅・大鳥居駅・穴物稲荷駅・天空橋駅)と都営地下鉄各駅、京成線各駅(成田空港駅・空港第2ビル駅・千原線を除く)および北総線各駅間の双方向に有効な片道割引乗車券です。対象の空港線4駅でのみ1枚単位の紙券として発売されており、発売日から3か月のうち任意の1日有効です。

空港線沿線のさらなる活性化や需要喚起を目的として2019年10月1日に発売開始しました。同日には上記の空港線「加算運賃」引き下げも実施されています。これに伴い、空港線各駅から都営線・京成線方面への運賃額は、「空港連絡特殊割引」が適用される遠方の羽田空港第3ターミナル駅の方が上記4駅よりも安くなる逆転現象が発生していました。「羽田みらいきっぷ」はこの逆転を補正する価格設定となっています。

今回の特殊割引の値下げにより価格逆転が解消されることになり、「羽田みらいきっぷ」の存在意義に一区切りがついたと見ることもできます。