「大阪〜神戸」など99区間 運賃一部値上げへ 私鉄と競合で割安な設定見直し JR西日本

JR西日本は、京阪神エリアの一部区間に設定している割安な「特定区間運賃」の一部を2023年4月から値上げします。

JR京都線・JR神戸線などで運行しているJR西日本225系電車(nozomi500/写真AC)
JR京都線・JR神戸線などで運行しているJR西日本225系電車(nozomi500/写真AC)

特定区間は旧国鉄時代に競合する私鉄との運賃差を抑える目的で設定され、JR発足後も引き継がれています。これまで消費税率アップによるものを除いて運賃改定は実施されておらず、設定当初からの運賃水準が維持されています。見直し対象は届出で315区間に設定されている特定区間運賃のうち99区間で、2023年4月1日(土)購入分から適用される予定です。

具体的には、34区間で普通運賃と通勤定期運賃の両方が値上げされるほか、65区間では6か月通勤定期運賃のみが値上げとなります(主な見直し区間と並行私鉄の運賃は下表を参照)。6か月定期についてはすでに廃止された旧「国有鉄道運賃法」第5条において「普通旅客運賃の100分の40に相当する額をこえることができない」(割引率60%以上)と定められ、これに基づいた割安な設定が継承されてきた経緯があります。今回、定期運賃の一般的な割引水準へ見直すとしています。

主な区間では、「大阪駅〜京都駅間」で並行する阪急電鉄(大阪梅田駅〜京都河原町駅間)より5,000円近く安価な設定だった6か月通勤定期運賃は、今回の改定により同額へと揃えられます。「大阪駅〜神戸駅間」はこれまで普通・定期運賃ともに阪急電鉄・阪神電気鉄道(大阪梅田駅〜高速神戸駅間)より安い区間でしたが、ともに値上げされ普通運賃は私鉄と同額になります。「天王寺駅〜和歌山駅間」も南海電気鉄道(新今宮駅〜和歌山市駅間)と比べて普通・定期運賃とも安く抑えられていましたが、いずれも南海と同額まで値上げされます。

【図表で解説】JR西日本 京阪神エリアの特定区間運賃を一部値上げ

なお、通学定期運賃については据え置かれます。また、見直しに伴う詳細な取り扱いについては決まり次第告知するとのことです。

JR西日本は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営状況が長期化していることや、市場環境が変化してきていることから見直しを決めたと説明しています。