新京成が京成の100%子会社に 9月に株式交換 協業で効率化目指す 新京成は東証上場廃止

京成電鉄は、発行済株式の44.64%を保有している子会社の新京成電鉄について、株式交換により完全子会社化すると発表しました。

新京成電鉄80000形電車(ツァ/写真AC)
新京成電鉄80000形電車(ツァ/写真AC)

新京成は上場廃止へ

京成を完全親会社、新京成を完全子会社とする株式交換により組織再編を行うことが両社の取締役会において決議され、両社間で株式交換契約が結ばれました。新京成が2022年6月28日(火)に開催予定の定時株主総会において承認を受けた上で、9月1日(木)を効力発生日として株式交換が行われる予定です。京成は、株主総会の承認を受ける必要のない簡易株式交換の手続きを進めます。

株式交換では、新京成の少数株主が保有する株式を京成が取得する対価として、京成は自社の普通株式を株主に交付します。新京成の株式1株に対する京成株式の割当比率は0.82株と定められました。京成と新京成との間に100%親子会社の関係が構築されることに伴い、東京証券取引所に上場している新京成は、株式交換に先立ち8月30日(火)に上場廃止となる予定です(詳細は下図を参照)。

【路線図で解説】京成電鉄 新京成電鉄を株式交換により完全子会社化へ

「新京成」ブランドは維持

東京・千葉・茨城の各都県に広い営業エリアを持つ京成と、千葉県北西部地域に特化して営業展開する新京成は、鉄道・バス事業などでこれまで緩やかな連携を行ってきました(鉄道路線図は上図を参照)。両社ともに少子高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響を受けて収益が減少しており、各事業エリアにおける競争力強化や環境問題への取り組み、バリアフリー対応などが共通の課題となっています。

しかし、両社とも上場会社であるため、協業による経営資源の有効活用はこれまで必ずしも優先的に検討されず、機動的な意思決定が十分に行えない状況であったとのことです。これを解決するため、京成から新京成に対して完全子会社化に向けた提案が行われ、新京成は検討を重ねた結果、強固な協力関係を築くことが有益であるとしてこれを受け入れました。

今回の組織再編により、京成グループのスケールメリットを活かした経営資源の効率的な利用・活用が進められます。事業戦略の共有化と競争力強化により両社の企業価値が向上し、双方の株主にメリットをもたらすと両社は説明しています。また、新京成ブランドについては沿線地域で浸透しているため、現時点で変更を行う予定はないとのことです。