特急「はまかぜ」運転区間 延びたり縮んだり ダイヤ改正 観光には便利 ビジネス利用は?

特急「はまかぜ」などで運行しているJR西日本キハ189系気動車(マサユキ/写真AC)
特急「はまかぜ」などで運行しているJR西日本キハ189系気動車(マサユキ/写真AC)

JR西日本は2023年3月18日(土)にダイヤ改正を実施し、阪神エリアと北近畿・鳥取方面を結ぶ特急「はまかぜ」の運転体系を見直すほか、利用状況に合わせて山陰本線などで普通列車を減便します。

城崎温泉から鳥取砂丘への周遊も便利に

大阪駅9:38発の下り「はまかぜ1号」は、ダイヤ改正後は発車時刻を約1時間50分繰り上げて大阪駅7:48発となります。現行ダイヤで主に冬季に運転している臨時列車「かにカニはまかぜ」と同じ運転時刻で、定期列車と臨時列車の運転順序が入れ替わるかたちとなります。併せて、行先も浜坂駅行から鳥取駅行に延長されます。また、浜坂駅13:30発の上り「はまかぜ4号」も運転区間が延長され、鳥取駅始発(12:57発)で運転します。

一方で、運転区間が短くなる列車もあり、鳥取駅6:00発の上り「はまかぜ2号」は城崎温泉駅始発に、大阪駅18:04発の下り「同5号」は鳥取駅行から豊岡駅行にそれぞれ変更されます。

メリットとして、「はまかぜ1号」「同6号」を利用して豊岡・城崎温泉方面へ往復する場合、滞在可能時間は約6時間半と、これまでよりも約1時間40分拡大します。城崎温泉駅には観光に便利な時間帯に到着(10:46着)し、神戸・姫路エリアからの日帰り旅行がゆったり楽しめるようになります。

また、城崎温泉駅から鳥取駅へお昼12時台に到着するよう移動したい場合、従来は普通列車を乗り継ぐしか手段がありませんでした。改正後は行先が延長される「はまかぜ1号」を利用して乗り換えなしで行けるようになり、所要時間を約1時間短縮できます。城崎温泉から鳥取砂丘というように、北近畿・山陰エリアを広域に楽しむ旅行のプランが立てやすくなりそうです(ダイヤ改正前後の特急「はまかぜ」の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。

【時刻表で解説】ダイヤ改正前後の特急「はまかぜ」の運転時刻

早朝は鳥取発→城崎温泉発に短縮

一方でデメリットはやはり、早朝の上り「はまかぜ2号」と、夕夜間の下り「同5号」の運転区間短縮による利便性の低下です。

【京都】元離宮二条城 前売り電子チケット
二条城は、慶長8年(1603年)に徳川家康により造営し、寛永3年(1626年)に完成しました。家康が建てた慶長年間の建築と、3代将軍家光がつくらせた絵画・彫刻などが総合され、桃山時代様式の全貌を垣間見ることができます。
【JR京都駅から】地下鉄:烏丸線「烏丸御池駅」から地下鉄東西線に乗り換え。「二条城前駅」下車。市バス:9・50・101・111号系統 ⇒「二条城前」下車。
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(提供:アソビュー!)

「はまかぜ」はビジネス用途の行き来も支えており、兵庫県の日本海に面した豊岡市・香美町・新温泉町のエリアと、県庁所在地の神戸市、中核市の姫路市との間には一定の利用があります。ダイヤ改正後は豊岡駅または城崎温泉駅で浜坂駅・鳥取駅方面の普通列車に接続しますが、利用駅によっては従来よりも所要時間が1時間程度多くかかるようになり、利用者への影響は小さくありません。

「はまかぜ」全体で見ると、豊岡駅・城崎温泉駅〜浜坂駅間で1往復分の運転が取り止めとなっており、輸送の効率化がダイヤ改正の前提条件であったことがうかがえます。JR西日本は、「はまかぜ」で使用しているキハ189系気動車を新たな観光列車に改造することを発表しており、それに伴う運用数減少を見据えている可能性もあります。

都市部からの観光利用と、郊外からのビジネス利用をどちらも十分に満たすことは難しい状況で、新ダイヤは、観光需要への対応を優先した結果であることは明白です。北近畿〜山陰間の移動など、新たな需要の創出に期待を込めての決断であったと思われます。

北近畿エリアではそのほか、山陰本線、JR宝塚線・福知山線、播但線で運転本数の削減、運転区間や時刻の見直しなどが実施されます。最終列車の時刻はおおむね現行ダイヤと同じですが、播但線の和田山駅から寺前駅方面の始発列車が50分繰り下げられるのをはじめ、一部の区間で早朝の列車が見直されます。