Osaka Metro(大阪メトロ)は、大阪・関西万博のメインアクセスとなる中央線に投入する新型車両「400系」について、営業運転を2023年6月25日(日)に開始すると決めました。
運行開始4月→6月25日に
万博会場の舞洲(まいしま)までの延伸工事が進められている中央線では、新型車両2型式の導入計画が進んでいます。一つは2022年7月22日に営業運転を開始した「30000A系」で、万博開催期間中の輸送力増強に必要となる10編成がすでに製造されています。
もう一つの400系は新世代車両として開発され、廃車予定の20系と、他路線へ転用する24系の既存2型式を置き換える目的で23編成が導入されます。当初は2023年4月の運転開始が予定されていましたが、約2か月遅れのデビューとなります。運行に向けた車両の試験を行う中で「機器の調整に時間を要した」と、延期の理由を説明しています。
大阪メトロは万博をきっかけに、夢洲につながる中央線を「活力インフラ」の舞台と位置付けています。イメージリーダーとなる400系は、安全性に加え、新たな機能と高い快適性を備えた移動手段に仕上がっており、「乗って楽しい」を具現化したデザインが大きな特徴となっています。
外観は宇宙船を意識させる未来的なデザインとしており、ガラス張りのような前面部は、客室からの展望も楽しめる立体的な形状です。2024年度からは自動運転の実証実験が計画されており、そのための運行指令などの情報伝達を担う各種装置も備わっています。こういった先進技術や、大阪メトロが提供するアプリやMaaS(Mobility as a Service)との関連性も想起させる外観となっています。
計画では、2024年度までに中央線の全駅に可動式ホーム柵(ホームドア)が設置されます。ホームドア越しでも乗降口が明確にわかるよう、車体側面の扉位置には縦方向にカラー帯が配されています。主体は中央線のラインカラーのグリーンですが、各車両の設備に応じて配色を変化させるコミュニケーション要素も取り入られています(大阪メトロ中央線の新型車両400系に搭載される主な設備、外観・車内イメージなど詳細は下の図表を参照)。
クロスシートにWi-Fi、USB充電も
目的地に向かって移動する期待感を演出するため、大阪メトロでは初導入となるクロスシート車両が1編成につき1両配備されているのも400系の特徴です。進行方向に並ぶ固定式シートはすべて1人掛けで、座席間隔も広めに取られているのでパーソナルスペースを確保できる設計です。ちなみに、クロスシート車両の乗降口は、座席の色と同じグレーの帯で識別できるようになっています。
ほかにも、同社最大となる21.5インチのワイド液晶ディスプレイを採用した車内案内装置、学習・予測制御を導入した空調装置などの最新設備が積極的に取り入れられています。先頭車両にはモバイル機器を充電できるUSB電源ポート付きのユーティリティスペースが設けられるほか、全車両で無料Wi-Fiも利用できます。車内防犯カメラや車両の低床化など、安全面やバリアフリーにも配慮されています。
なお、400系運行開始後の具体的な運行ダイヤについては、駅の混雑など安全上の観点から非公開となります。