混雑緩和に「特急」も活用 観光客増加の嵯峨野線 紅葉シーズンは嵯峨嵐山駅に臨時停車

JR西日本は、秋の行楽シーズンに多くの観光客の利用が見込まれる嵯峨野線(山陰線)において、臨時列車の運転や編成両数の増加を行うほか、一部の特急列車を嵯峨嵐山駅に臨時停車させて混雑緩和を図ります。

特急「きのさき」「はしだて」「まいづる」などで運行しているJR西日本287系電車(エリザベス/写真AC)
特急「きのさき」「はしだて」「まいづる」などで運行しているJR西日本287系電車(エリザベス/写真AC)

秋の行楽対応で臨時列車を毎日運転に拡大

京都市観光協会がまとめた2023年7月の調査報告によると、京都市を訪れる日本人観光客の数はコロナ禍前の2019年とほぼ同水準にまで回復しているとのことです。インバウンド需要の復調も鮮明で、市内の宿泊者に占める外国人の割合がすでに半数を超えています。

京都駅から主要観光地である嵐山・嵯峨野エリア、亀岡・南丹エリアへと結ぶ嵯峨野線は、観光客の増加に比例して昼間時間帯を中心に混雑が目立っています。新型コロナウイルス感染拡大期の利用状況を反映した2021年3月ダイヤ改正において、昼間時間帯の普通列車を減便したことも影響していると見られ、JRは臨時列車の増発や両数変更による対応を続けています。

2023年10月〜12月は毎日、1日あたり26〜60本の列車について4両は6両、6両は8両編成へと増強します。土休日を中心に、京都駅〜嵯峨嵐山駅・亀岡駅間で臨時列車も運転されます。紅葉シーズンとなる10月21日(土)〜12月10日(日)は臨時列車の設定を平日にも拡大し、1日18〜20本増発して輸送力を強化します。2024年1月以降も、両数を増やす列車の運転を中心に対応していくとのことです。

ドア脇に補助シートを設置している車両では、スムーズに乗降できるよう、補助シートを利用できる時間帯を縮小する措置が取られています。また、嵯峨野線の主力車両は転換クロスシートが4列並んでいるタイプですが、座席が3列で通路部分が広い車両も一部列車に導入されており、車内混雑の緩和効果が期待されています。

(嵯峨野線に設定される臨時列車の本数、嵯峨嵐山駅に臨時停車する特急の運転時刻など詳細は下の図表を参照)

【時刻表で解説】嵯峨野線に設定される臨時列車の本数、嵯峨嵐山駅に臨時停車する特急の運転時刻

京都駅から嵐山へ10分間の特急体験を

京都観光のハイシーズンを迎えるにあたり、新たな施策も発表されました。10月21日(土)〜12月10日(日)の土休日は、京都駅と北近畿方面を結ぶ特急「きのさき」「はしだて」「まいづる」のうち7本の列車について、普段は止まらない嵯峨嵐山駅に臨時停車します。内訳は、京都駅を9〜11時台に発車する朝の下り列車3本と、嵯峨嵐山駅を14〜17時台に発車する午後の上り列車4本です。

JRは、嵐山エリアへの観光やお出かけにも特急列車を利用してほしいと呼びかけています。指定席なら快適に着席できますが、京都駅〜嵯峨嵐山駅間は特急なら約10分と乗車時間が短く、普通車指定席では特急料金1,290円(通常期)が運賃以外にかかるのがデメリットです。

この割高感を緩和するため、ネット予約「e5489」専用の料金券「J-WESTチケットレス」に嵯峨嵐山駅発着の区間設定が追加されます。チケットレス利用時の京都駅〜嵯峨嵐山駅間の特急料金は600円(通年)で、通常きっぷの半額程度に抑えられます。

さらに、特急利用を試してもらうきっかけとして「WESTERポイント」による還元キャンペーンも実施されます。11月1日(水)〜12月10日(日)の期間中に専用Webページからエントリーし、対象区間をチケットレス利用すると、1回乗車につき150ポイントを還元するというものです。これを活用した場合の実質料金は450円相当となり、短時間の乗車でも気軽に利用できるおねだんへと近づきます。

ちなみに、嵐山エリアに路線網を持つ京福電気鉄道「嵐電」はダイヤ改正を8月26日(土)に実施しました。観光客の利用が集中する午後時間帯、京都市中心部へ向かう電車の編成両数を1両から2両に増強し、輸送力を倍増することで混雑緩和を目指しています。

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