“グッドデザイン”な鉄道たち 宇都宮LRTに特別賞 「スペーシア X」「HC85系」 他には?

日本デザイン振興会は「2023年度グッドデザイン賞」を発表し、公共交通機関では2023年8月26日(土)に開業した「芳賀・宇都宮LRT」をはじめ、東武鉄道やJR東海の新型特急車両などが選出されました。

「2023年度グッドデザイン賞」の特別賞、グッドフォーカス賞(地域社会デザイン)に選ばれた「芳賀・宇都宮LRT」宇都宮ライトレールHU300形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)
「2023年度グッドデザイン賞」の特別賞、グッドフォーカス賞(地域社会デザイン)に選ばれた「芳賀・宇都宮LRT」宇都宮ライトレールHU300形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)

台湾の電気機関車を手掛けた日本メーカーも受賞

今年度のグッドデザイン賞は5,447件が審査の対象となり、国内外のデザイン分野の第一人者による審査委員会によって全1,548件の事象が決まりました。この中には、特に優れたデザインとして高く評価された「グッドデザイン・ベスト100」の100件が含まれています。公共交通関連からは3件がベスト100に選ばれ、うち2件は特別賞を受賞しています。

芳賀・宇都宮LRT「ライトライン」は、国内で初めて新規に敷設したLRT(次世代型路面電車)路線で、開業から1か月あまりで、早くも好調な利用者数が伝えられています。整備主体の栃木県宇都宮市・芳賀町と、運営主体の宇都宮ライトレールは共同で、地域社会の持続的発展や経済の活性化に寄与するデザインとして認められた「グッドフォーカス賞[地域社会デザイン]」を受賞しました。

沿線地域は、まちづくりと一体化したLRT網を構築することにより、人口減少や少子高齢化といった環境下でも選ばれる街となることを目指しています。愛称は、雷が多く住民自らが「雷都」と呼ぶ地域性を反映して制定されました。ネーミングやカラー、ロゴマークは車両、停留所のほか開業プロモーションにも展開され、市民路線としての醸成にデザインが活用された好例と評価されています。

東芝が台湾鉄路管理局向けに開発した電気機関車「E500」は、現地の運用に合った保守性とカスタマイズ性を備えるモジュール型デザインが評価され、「グッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]」を受賞しました。さらに、JR東日本が上越新幹線燕三条駅に開設した、地域のものづくり技術の窓口を併設する地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub 燕三条」もベスト100に選出されました。

(「2023年度グッドデザイン賞」受賞対象のうち公共交通機関に関連した製品・サービスなど詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】「2023年度グッドデザイン賞」受賞対象のうち公共交通機関に関連した製品・サービス

南海・泉北高速の兄弟車にもグッドデザイン賞

東武鉄道からは、日光・鬼怒川エリアへの新しいフラッグシップ特急「スペーシア X」N100系がグッドデザイン賞に選ばれました。評価委員は、日本では絶滅に近い車内飲食スペースを復活させたことに驚きを隠しません。家具を思わせる椅子やテーブルを配したインテリアも斬新で、コロナ禍を経て「量から質への転換が求められる鉄道」にふさわしい車両と太鼓判を押しています。

JR東海が特急「ひだ」「南紀」に導入した、ハイブリッドシステム採用の次世代車両「HC85系」もグッドデザイン賞を獲得しています。曲面基調の先頭部や柔らかい印象の塗り分けが観光特急にふさわしい雰囲気を出しており、CO2排出量の大幅低減に成功したことも高評価されています。

グッドデザイン賞にはそのほか、グループ共通車体によるメンテナンスの効率化と、運行路線に合わせた独自性を両立させた南海電気鉄道8300系と泉北高速鉄道9300系が合同で選ばれています。船舶では、商船三井グループが大阪〜別府航路に導入した、国内初のLNG(液化天然ガス)を燃料とする環境配慮型フェリー「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」が受賞しています。

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