西武新宿駅が新しい地下通路で飛躍的に近く 丸ノ内線との乗り換え11分→5分に半減

西武鉄道は、西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線新宿駅をつなぐ新しい地下通路を整備します。

地下通路が新たに建設される新宿駅東口付近から西武新宿駅までの地上のようす(Katsumi/TOKYO STUDIO)
地下通路が新たに建設される新宿駅東口付近から西武新宿駅までの地上のようす(Katsumi/TOKYO STUDIO)

これまで両駅間には、徒歩で約11分を要する大きく迂回する地下通路しかなく、地上乗り換えにおいても複数の交差点を横断する必要があり、乗り換えに不便を強いられていました。新しい地下通路は、旧「ヤマダ電機LABI新宿東口館」付近の「新宿サブナード」と、「新宿アルタ」付近の「メトロプロムナード」を最短で結ぶ約140m、幅6〜18mののもので、段差部分にはエレベーターが設けられバリアフリーも図られます。この完成後は、両駅間を地下のみで移動する場合の所要時間はほぼ半減の約5分となり、約6分の時短効果が得られます(地図は下図を参照)。

新通路の建設については、西武鉄道が新宿区などの関係者と話し合いを続けてきました。2021年4月に新宿区が都市計画手続きを開始したことを受け、事業予定者である西武鉄道が早期実現に向け、これから具体的な検討を進めます。工事期間は現時点では未定です。

新地下通路の効果として、丸ノ内線やJR線などとの乗り換え利便性の向上のほか、歩行者ネットワークの重層化による混雑の分散化、まちとまち、駅とまちの回遊性の向上が挙げられています。これらの効果により、東京都と新宿区が掲げている、分散した駅を一体化して整える「新宿グランドターミナル」構想に貢献するとしています。

西武鉄道では、混雑が激しかった新宿線西武新宿駅〜上石神井駅間の輸送力強化のため、約12.8kmの地下新線を新たに建設して複々線化する計画をつくり、東京都が1993年に都市計画に定めていました。しかしその後、輸送人員の減少や車両の長編成化等により混雑率が下がったことから必要性が薄れ、現在、東京都により都市計画の廃止に向けた手続きを行っています。この計画において、西武新宿駅は既存駅とは別に地下に新駅をつくり、新たな地下通路が建設される区間はその改札外コンコースとして整備する予定でした。長年ここに地下通路がつくられなかった理由は、この複々線化計画の地下新駅構想があったからです。

同じ新宿を名乗りながらも遠いイメージのあった西武新宿駅ですが、紆余曲折の末にようやく動き出す新通路計画により、名実ともに新宿ターミナルの一員となれる日が来そうです。