坂道の多い多摩ニュータウンの救世主?
「TAMa-GO」に合わせて導入される新しい交通サービスとして、聖蹟桜ケ丘駅と駅南部の多摩市「聖ケ丘」「馬引沢」「蓮光寺6丁目」エリアを結ぶ、タクシー利用の「相乗り型輸送」が1月26日(火)から運行されます。運行時刻は11:00〜16:00で、スマートフォンから乗車日時と乗降箇所を指定して利用する予約制のサービスとなります。料金は一律500円と、通常のタクシーより安価に設定されています。
この相乗り型輸送を組み入れたデジタルチケットとして、京王聖蹟桜ケ丘SCお買い物券(500円×11枚)がセットになった「聖蹟桜ケ丘お買い物チケット(相乗り型輸送)」も発売されます(大人用のみ5,000円)。また、同SC(対象外店舗あり)または「京王ストア桜ケ丘店」で1レシート5,000円(税込)以上購入すると、当日分の相乗り型輸送に使える無料乗車券1名分を提供するサービスも並行して実施されます。
多摩ニュータウンは高齢化が進展し、坂道や階段の多い丘陵地形が移動の制約となっていることが問題視されています。今回の相乗り型輸送はエリアが限定されており実験的要素が強いですが、「バス停まで歩くのもつらい」という交通不便地域を解消する切り札になれるかどうかが注目されます。
「TAMa-GO」ではそのほか、交通機関の遅れも加味した「リアルタイム経路検索」、京王線沿線のお出かけスポットを紹介する「デジタルマップ」も提供されます。
各鉄道会社が得意分野でMaaSに「色付け」
MaaSは、スマートフォンなどの情報通信技術(ICT)を活用し、さまざまな交通機関をシームレスに利用できる仕組みの総称です。国内では地方自治体や鉄道事業者などが参入し、各地で実証実験が行われています。京王の「TAMa-GO」は、東京都が公募した「MaaS社会実装モデル構築に関する実証事業」に採択されて実施されるものです。
最近では、東急が新サービス「DENTO」の実証実験を発表しました(厳密にはこちらは「MaaS」という言葉が使われていません)。田園都市線沿線と都心を結ぶ通勤バスを「動くシェアオフィス」と打ち出すなど、オフィスワーカーをターゲットとし、「通勤」と「テレワーク」をアレンジしたサービスに特化しています。
京王はグループ施設が集積する多摩エリア内にフィールドを絞り、「買い物」「レジャー」など、普段の暮らしに近い分野に特化しているのが対照的です。時間帯でまとめるなら東急は「朝夕」、京王は「昼間」にスポットが当てられています。
MaaS本来の概念に含まれる統合型交通サービスに加え、いかにおトクな付加価値を訴求できるかが普及の鍵になると思われます。各鉄道事業者ともMaaSの中に自社の得意分野を組み込みつつ、試行錯誤を繰り返しながら商品造成している段階のようです。