新商品開発で箱根のきっぷは大きく様変わり
箱根エリアをめぐる小田急グループの定番商品と言えば、前述の「箱根フリーパス」です。広い範囲の乗り物が乗り放題となり自由度が高い一方、行きたい場所が限られている人や、ゆったりした行程を組みたい人など、旅のスタイルによってはオーバースペックとなる場合もあります。
「EMotオンラインチケット」の開始にあたっては、商品造成に「引き算の発想」が取り入れられたもようです。目的地に応じて選べるチケットや、マイカーで来訪した方、コンパクトに箱根を周遊したい方向けのチケットが開発され、さまざまな観光シーンに合わせて選べる工夫がされています。
「デジタル大涌谷きっぷ」は、箱根登山電車・箱根登山ケーブルカーの全線と、箱根ロープウェイの大涌谷〜早雲山間が2日間乗り降り自由となるチケットです(フリー区間の路線図は下図を参照)。芦ノ湖へは行けませんが、人気スポット大涌谷の観光をメインに箱根の絶景を手軽に楽しめることができます。小田原駅発のおねだんは大人3,500円・小児980円、小田急線の往復乗車券が付いた新宿駅発のおねだんは大人4,980円・小児1,480円となっています。
もう一つの目的エリア限定商品は「デジタル芦ノ湖きっぷ」です。箱根登山電車(小田原駅〜箱根湯本駅間)、箱根登山バス(小田原駅〜箱根町港間: H・K・R路線)および箱根海賊船の全航路が2日間乗り降り自由です(路線図は下図を参照)。強羅・大涌谷方面へ行けない代わりに、芦ノ湖での海賊船クルーズを手軽に楽しむことができます。箱根神社方面やハイキングを楽しみたい方にも適しています。小田原駅発のおねだんは大人3,600円・小児980円、小田急線往復付きの新宿駅発のおねだんは大人4,980円・小児1,480円となっています。
マイカーなどで箱根エリアに来訪し、箱根登山電車の乗車だけをのんびり楽しみたいなら、1日乗車券「デジタルのんびりきっぷ」がおすすめです。小田原駅〜強羅駅間の全線が乗り放題で、途中下車しながら沿線のスポットを楽しむことができます(路線図は下図を参照)。おねだんは大人1,400円・小児700円です。
最短2時間で強羅・芦ノ湖・大涌谷エリアをぐるっと周遊できる「デジタル箱根乗り物パスLite」はユニークです。車で来訪した方も、箱根の5つの乗り物をアトラクションのように楽しむことができます。利用できる区間は箱根登山電車(強羅駅〜宮ノ下駅間)、箱根登山バス(宮ノ下→箱根町港間)、箱根海賊船(箱根町港→桃源台間)、箱根ロープウェイ(桃源台→早雲山間)および箱根登山ケーブルカー(早雲山駅→強羅駅間)で、各区間は一方向に1回限り利用できます(強羅駅〜宮ノ下駅間に限り両方向に乗り降り自由、路線図は下図を参照)。出発はどこからでも構いません。おねだんは大人3,800円・小児980円です。
これらの4つの新商品はブラウザ版デジタルチケットのほか、2021年10月1日(金)から箱根登山鉄道の駅窓口などで紙のきっぷとしても発売されます。一方で、従来発売されていた「箱根登山電車・箱根登山ケーブルカー1日乗車券『トコトコきっぷ』」「箱根旧街道・1号線きっぷ」の紙のきっぷ2商品は、9月30日(木)利用分をもって発売終了となります。観光シーンを想定して練り上げられた「EMotオンラインチケット」の開始に伴い、箱根エリアにおけるおトクなきっぷのラインナップは大きく入れ換わることになります。
11月以降も新しいチケットが続々と追加
スマートフォンサイト「EMotオンラインチケット」で購入できるデジタルチケットのラインナップは順次拡充されます。
11月からは、箱根湯本駅から芦ノ湖を直行で結ぶ座席定員制バス「芦ノ湖ライナー」のデジタル座席券が発売されます。「箱根フリーパス」「芦ノ湖きっぷ」を含む乗車券に加えて購入することで、必ず座って利用することができます。おねだんは大人・小児とも1席500円です。「芦ノ湖ライナー」は土日祝日のみ運行予定で、詳細は決まり次第告知されるとのことです。
加えて12月からは、箱根エリアの観光施設や日帰り温泉施設など全22施設が有効期間中に何度でも入場できる、サブスクリプションサービス「箱根遊び放題チケット(はこちけ)」の期間限定発売が予定されています。この効能が付加された「デジタル箱根フリーパス『はこちけ』プラス」も登場します。「はこちけ」は「EMotオンラインチケット」とアプリ「EMot」の限定商品になるとのことで、詳細は決まり次第発表されます。
小田急箱根ホールディングスは、将来的には「観光型MaaS」機能のさらなる深化を目指しており、宿泊施設や観光スポットと連携した予約・決済機能の一元化などを推進していくとのことです。シームレスな移動と非接触による安心感をうたいながら、箱根観光をより魅力的にアップデートしていく取り組みが始まっています。