えりも岬から帯広へ「日勝半島物語きっぷ」で JR北海道とバス会社連携 フリー区間拡大

JR北海道は、十勝バス(本社:北海道帯広市)、ジェイ・アール北海道バス(本社:札幌市)と連携し、鉄道とバスを乗り継いで日高・十勝エリアを周遊できるおトクなきっぷ「日勝半島物語きっぷ」を発売します。

日勝半島の最南端に位置する襟裳岬(画像提供:公益社団法人 北海道観光振興機構)
日勝半島の最南端に位置する襟裳岬(画像提供:公益社団法人 北海道観光振興機構)

「日高」「十勝」の異なる魅力が凝縮

「日勝半島」とは、日高山脈を挟んで隣り合う十勝南部(帯広市、幕別町、中札内村、更別村、大樹町、広尾町)と日高東部(浦河町、様似町、えりも町)の9市町村で構成するエリアを指します。2016年(平成28年)から公式サイトやSNSなどで用いられている愛称で、両地域の異なる文化や自然景観を背景に、北海道のエッセンスが凝縮されたエリアとして観光客の誘致活動が行われています。

日高本線の大半を占める鵡川駅〜様似駅間は、2015年から2016年にかけて低気圧や台風による高波被害が立て続けに発生し不通となりました。多額の復旧費用がかかることからJR北海道と沿線自治体は復旧を断念し、2021年3月31日もって鉄道事業が廃止されました。

代替交通手段として、苫小牧駅とえりも町の間に直通の路線バス「特急とまも号」が新設され、鉄道とほぼ変わらない所要時間で結んでいます。日高エリアの路線バス系統は、通学や通院などに便利な運行体系に見直されました。これらを活用し、日高エリアの玄関口である苫小牧駅から襟裳(えりも)岬を経由し、十勝エリアの拠点となる帯広駅まで、公共交通だけで広域に移動することができます(「日勝半島物語きっぷ」の利用可能区間、主な区間のバス運転本数と所要時間など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】「日勝半島物語きっぷ」の利用可能区間、主な区間のバス運転本数と所要時間

「苫小牧」「帯広」どっちを先に回る?

「日勝半島物語きっぷ」は札幌駅発着で、苫小牧駅・帯広駅までのJR線と、苫小牧駅〜えりも岬〜帯広駅間のバスがセットになった企画乗車券です。「帯広先回り」「苫小牧先回り」の2種類のきっぷがあり、いずれかのルートを決めて購入します。地域の方々の協力のもと、日勝半島エリアの施設やレストランできっぷを提示すると受けられる割引やプレゼントの特典も用意されています。

おねだんは9,500円(大人用、小児半額)、有効期間は4日間で、2023年4月22日(土)〜11月21日(火)まで利用開始分の期間限定発売です。札幌近郊エリアの駅にある「話せる券売機」「指定席券売機」でのみ発売されます。

JR線は乗車券部分のみ有効で、特急列車を利用する場合は別に特急券を購入する必要があります(一部、特例区間あり)。苫小牧駅〜えりも間で「特急とまも号」を1回利用できますが、座席が限られているため電話による事前予約が必要です。

十勝バスと帯広駅〜広尾間と、JRバスの広尾〜静内間は「バスフリー区間」で、有効期間中は何度でも途中下車ができますが、券面の方向のみで、逆向きの利用はできません。「日勝半島物語きっぷ」は2022年に初めて発売されましたが、今年は様似〜静内間のJRバスが利用可能区間に追加され、浦河町などに滞在するプランが組めるようになっています。

「日勝半島物語きっぷ」の特設サイトには、帯広先回り・苫小牧先回りの両コースともにおすすめのモデルコースが掲載されています。全ルートは最低でも1泊2日を要しますが、宿泊者限定のきっぷ提示特典を用意している旅館もあるので、宿泊先選びの参考にしてみるものいいかも知れません。

各バス会社の公式サイトに掲載されている時刻表を頼りに、自分だけのオリジナル旅程を考案するのも旅の楽しみの一つです。全体では「特急とまも号」が1日1往復と最も少ない運転本数であるため、このバスの時刻表を基準にして宿泊や乗り継ぎ、立ち寄り地点を組み立てていくことになりそうです。

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