5000系追加投入し「京王ライナー」を拡充 京王の設備投資380億円 約7kmの高架化推進

京王電鉄は2023年度、駅や車両の安全対策、連続立体交差化工事の推進など鉄道事業に総額380億円の設備投資を行い、経営目標に掲げている「日本一安全でサービスの良い鉄道」の実現を目指します。

傷害事件受け防犯カメラを増設

同社が筆頭に挙げているのは、車両やホーム上での防犯・安全対策です。2021年10月、京王線の布田駅〜国領駅間を走行中の車内で発生した傷害事件を「信頼を揺るがす重大な危機」とし、対応力強化と未然防止対策を急いできました。リアルタイム伝送機能を持つ車内防犯カメラやホーム上防犯カメラの導入も進めており、今年度中に全車両・全駅への整備を完了させます。

京王線の笹塚駅〜仙川駅間約7.2kmでは、東京都と世田谷区・渋谷区・杉並区を事業主体とする連続立体交差事業が実施されています。今年度は用地取得や仮線準備のための工事、高架橋の構築などが引き続き進められます。高架化が完了すると25か所の踏切が除去され安全性が高まり、交通渋滞の解消、鉄道によって分断されていた地域の一体化といった効果が期待できます。

ホームからの転落や列車との接触事故を防ぐためのホームドアは、井の頭線では2020年代中頃、京王線では2030年代前半を目標に全駅への整備を完了させる方針です。今年度は笹塚駅(2・3番線)や神泉駅などで整備され、ホームと車両の段差や隙間を解消する工事も併せて行われます。

そのほかの安全の取り組みとして、踏切道の障害物検知装置の精度向上や、大規模地震など自然災害に備える対策が引き続き実施されます。

【図表で解説】京王電鉄の2023年度設備投資に示された取り組み、連続立体交差化区間の断面図

リクライニング機能付きのロング・クロス転換座席

利用者ニーズを先取りしたサービスの提供として、必ず着席できる座席指定列車「京王ライナー」のサービス拡充が計画されています。2018年2月の運行開始以来、好評を受けて運行時間帯の拡大が続けられており、2024年度以降も通勤・通学時間帯でのさらなる増発が検討されています。

これを実現するため、5000系車両が1編成(10両)新造されます。2022年度に導入した編成には日本初のリクライニング機能が付いたロング・クロスシート転換座席が搭載されましたが、今年度の増備編成にも同様に採用されます。

案内機能の強化として、異常発生区間や振替輸送経路などをわかりやすく表示する多言語対応の案内ディスプレイを導入するほか、行先案内盤は従来の4色表示からマルチカラー型に更新します。老朽化したエスカレーターやホーム上屋、旅客トイレのリニューアル工事も実施されます。

運転用電力を削減するため、京王線の既存車両8000系3編成(26両)に対し、より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置への更新工事が行われます。ほかにも、車両機器情報データを活用した省エネ運転を京王線で導入するほか、駅構内照明のLED化、環境負荷の低い変電所機器への更新など、地域・社会との共生につながる施策が実施されます。

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