最優秀車両「ブルーリボン賞」にJR東海HC85系 “京都ならでは”地下鉄に「ローレル賞」

鉄道愛好家による団体「鉄道友の会」が優れた鉄道車両を選定する2023年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」に、JR東海のハイブリッド特急形車両と京都市交通局の新型地下鉄車両が選ばれました。

高山本線の特急「ひだ」して運行しているJR東海HC85系ハイブリッド式気動車(YKT2000/写真AC)
高山本線の特急「ひだ」して運行しているJR東海HC85系ハイブリッド式気動車(YKT2000/写真AC)

国内最速のハイブリッド車両が堂々受賞

全国の友の会会員から選ばれた、鉄道車両に精通するベテラン9名が選考委員となり、会員による投票の結果を踏まえて優秀車両を選定しました。選定対象は毎年1月1日〜12月31日の間に営業運転を開始した新造または改造車両です。今年の候補車両は13系列・形式と、昨年の5系列・形式から増えています。

最優秀車両「ブルーリボン賞」には、JR東海が高山本線の特急「ひだ」として2022年7月1日に営業運転を開始した「HC85系」が選ばれました。今年度以降も増備が続けられ、2023年7月1日からは紀勢本線の特急「南紀」にも運転区間を拡大します。

従来のキハ85系気動車の後継車両として開発され、発電装置と蓄電池を備えたハイブリッドシステム車両として国内最速の120km/h運転を実現しています。ディーゼルエンジンの台数を85系から半減することにより、環境負荷や騒音の低減に寄与している点も評価されました。

編成の自由度を高めるために先頭車両は貫通形のみとなり、展望形の先頭車両を売りにしていた85系から方針転換しています。その先頭形状は「和」をイメージした曲線で構成されており、貫通形であることを感じさせない柔らかな印象です。さらに、側面へ流れるように配された白とオレンジのラインは躍動感を与えていると、デザイン性の高さにも注目されています。

客室はバリアフリー、ユニバーサルデザイン設計で、デッキには、沿線の伝統工芸品などを展示するスペース「ナノミュージアム」が設けられています。全席に備わるコンセント、車内Wi-Fiサービス、大型荷物対応スペースなど「現代の旅を支える装備も充実して」いる点も受賞理由に挙げられています。

ほかにも、信頼度とメンテナンス性を向上させた台車、リアルタイム通信できる車内防犯カメラ、エンジンなどの機器の常時監視システムといった新技術がふんだんに取り入れられています。

HC85系は会員による投票で最多の支持を受けており、選考委員会も多くの観点からブルーリボン賞にふさわしいと高く評価したとのことです。JR東海の前回のブルーリボン賞車両は、2008年(平成20年)にJR西日本とともに受賞した東海道・山陽新幹線「N700系」で、15年ぶりの受賞となります(JR東海HC85系と京都市交通局20系の写真、過去のブルーリボン賞・ローレル賞受賞歴など詳細は下の図表を参照)。

【図表で解説】JR東海HC85系と京都市交通局20系の写真、過去のブルーリボン賞・ローレル賞受賞歴

市民参加で生まれた烏丸線のニューフェイス

一方、投票結果を参考に、選考委員会が審議して優秀と認めた「ローレル賞」は、京都市交通局が地下鉄烏丸線に導入した「20系」が受賞しました。1981年(昭和56年)の烏丸線開業時から運用している10系車両の置き換え目的で開発され、初編成は2022年3月26日に営業運転に就いています。現在、3編成が運行しており、今後も年に2編成のペースで増備が続くとのことです。

設計にあたり、デザイン専門家や公募の市民が委員となって幅広い議論を行い、明確なデザインコンセプトを策定しました。デザインの最終案は市民と利用者の投票により決定したもので、公営交通事業者らしく市民参加の取り組みが行われた点が評価ポイントとなっています。

外観や内装デザインには、京都の伝統産業品に通じる素材や技法が華麗に活用されています。例えば、車椅子やベビーカー利用に対応する「おもいやりエリア」の立ち掛けシートは、「西陣織」「清水焼」など、編成・車両ごとに異なる「京都ならでは」の展示スペースとしています。ほかにも、通路上部の「釘隠し」、吊手の「北山丸太」「京くみひも」などに京都らしさが散りばめられています。

デザインコンセプトの一つに「京都ならではの地下鉄」が挙げられており、少しでも業界の振興につなげたい伝統産業関係者と交通局の思いが一致してこれらの協創が実現しました。

選定理由には「最新技術と京都らしさを併せ持つ優れた車両である」と記されています。近未来的なイメージの前面デザイン、ホームとの段差低減などのバリアフリー性、多言語案内表示などのインバウンド対応といった、車両としての完成度も高評価を得ています。

なお、京都市交通局のブルーリボン賞・ローレル賞の受賞は今回が初めてです。20系は公益財団法人日本デザイン振興会による「2022年度グッドデザイン賞」にも選ばれており、ダブル受賞の快挙です。

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