JR東海は、東海道新幹線で実施している車内ワゴン販売をすべて終了し、スマートフォンなどモバイル端末の普及に対応した新しい形態の車内接遇サービスを導入します。
パーサーは新制服に…でもワゴン巡回せず
「のぞみ」「ひかり」のすべての号車を巡回する東海道新幹線のワゴン販売ですが、JR東海は2023年10月31日(火)をもって取り止めると発表しました。理由として、駅周辺店舗の品揃えが充実し、飲食物の車内への持ち込みが増加していることを上げています。さらに、静かな車内環境を求める意見が寄せられており、将来にわたる労働力不足も懸念されることから終了を決めたとしています。
11月1日(水)以降は、「こだま」を除くグリーン車に限定して車内販売が継続します。ただし、ワゴン販売ではなく、新たに導入する「東海道新幹線モバイルオーダーサービス」を活用したオーダー方式のサービスです。グリーン車の各座席に設置されたQRコードをご自分のモバイル端末で読み取って注文することにより、パーサーが座席まで食事や飲み物を届ける仕組みです。
このように今後はグリーン車中心の業務となるパーサーですが、10月1日(日)から機能的で上質感のあるデザインの制服へと大幅にリニューアルします。カットソーやパンツのアイテムが加わり、シャンパンゴールドとネイビーの色を含めてパーサー自身で組み合わせを選ぶことができるそうです。
これまでパーサー業務を担ってきたジェイアール東海パッセンジャーズ(本社:東京都中央区)が東海キヨスク(本社:名古屋市)と合併し、新会社「JR東海リテイリング・プラス」が発足するのを機に一新するものです。製作はオンワード商事(本社:東京都千代田区)が手掛け、パーサーの意見も取り入れて「着てみたい」「働いてみたい」と思ってもらえる制服を目指してデザインしたそうです。
(東海道新幹線で開始する新しい車内サービスのイメージ、リニューアルするパーサー制服など詳細は下の図表を参照)
どうなる「シンカンセンスゴイカタイアイス」
普通車の車内販売は取り止めとなりますが、駅ホームを中心に自動販売機を拡充して飲食の提供が強化されます。ワゴン販売でニーズの高いドリップコーヒーやアイスクリームなどラインナップも自販機に取り揃えられ、乗車前に購入しやすい環境が整えられます。新サービスに移行する11月1日(水)までに「のぞみ」各停車駅に設置し、その他の駅への展開拡大も検討しているとのことです。
車内販売以外の新サービスとして、グリーン車の各座席に設置されたQRコードを使い、モバイル端末から乗務員を呼び出せる「東海道新幹線サポートコールサービス」が11月1日(水)に開始します。加えて、授乳などに利用できる11号車「多目的室」をタイムリーに利用できるよう、QRコードから同様に乗務員を呼び出せる「東海道新幹線多目的室案内サービス」も同日から利用可能となります。
これらの呼び出し機能は、ヤマハ(本社:静岡県浜松市)が開発した「おもてなしガイド powered by SoundUD」のインターホンサービスを応用して実現しました。アプリのインストールは不要で、自動翻訳による多言語対応や文字でのやり取りもできるユニバーサルデザインに配慮した設計です。鉄道各社の駅を中心に採用実績を増やしていますが、車内での導入は初めてとのことです。