千葉県のいすみ鉄道は、台風13号の通過に伴う大雨被害により全線で運転を見合わせていましたが、2023年9月13日(水)から大原駅〜大多喜駅間で列車の運転を再開しました。
大原〜大多喜間は13日始発から運転再開
台風は本州に上陸することはありませんでしたが、南から暖かく湿った空気が流れ込んだ影響により、中心から離れた北東側で雨雲が発達しました。関東地方では9月8日(金)から9日(土)にかけて大雨となり、特に8日(金)は千葉県などに線状降水帯が発生しました。茂原市や大多喜町などで記録的な雨量を観測したほか、各地で土砂災害や河川の氾濫、家屋の浸水などの被害が発生しています。
JR東日本は、大雨の影響が大きかった外房線の一部区間で運転見合わせを続けていましたが、復旧に向けた作業が終了し、9月13日(水)始発列車から運転を再開しています。
いすみ鉄道は9月8日(金)から全線で運転を見合わせていました。このうち、大原駅〜大多喜駅間では一部で線路下の土砂流出が発生しましたが、復旧工事は完了し、13日(水)の始発からこの区間で通常通りの時刻による運転を再開しました。
大雨による被害は大多喜駅〜上総中野駅間に集中しており、同社は復旧にかなりの時間を要すると見込んでいます。同区間では当分の間、列車の運転を見合わせ、バスによる代行輸送が実施されます。代行バスは平日と土休日で運転ダイヤが異なり、平常時の列車と比べて運転本数がかなり少なくなっています。
(大雨の影響によるいすみ鉄道・小湊鐵道の運転見合わせ区間路線図、主な被災状況など詳細は下の図表を参照)
被災状況の調査支援を国に要望
不通区間では、現時点で少なくとも8か所の線路設備に被災が確認されています。久我原駅〜総元駅間では倒木が発生しており、総元駅〜西畑駅間では線路脇の土手が2か所で崩落しています。西畑駅〜上総中野駅間も被害が大きく、道床の流出が3か所、土砂の流出が引き起こした線路支障が1か所で起きています。上総中野駅構内でも線路脇の土手が崩落しています。
上総中野駅で接続する小湊鐵道の線路も大雨で被害を受けており、里見駅〜上総中野駅間が現在も不通で、当分の間は代行バスによる輸送が行われます。こちらもバスの本数は限られ、すべての列車には接続していないので注意が必要です。
いすみ鉄道と小湊鐵道は、被災状況の調査について国による支援を要望しており、斉藤鉄夫国土交通大臣は、鉄道・運輸機構(JRTT)の鉄道災害調査隊を現地に派遣し、調査を実施する予定であると明らかにしました。また、千葉県の熊谷俊人知事は、いすみ鉄道の被害が深刻であるとして、国や沿線市町と連携を取りながら復旧に向け支援をしていきたいと表明しました。