夜のウィング号 「快特」と連結し4両に縮小 京急ダイヤ改正 「エアポート急行」は改称

京浜急行電鉄は2023年11月25日(土)に京急線でダイヤ改正を実施し、座席指定「ウィングサービス」の内容を利用状況に合わせて見直すほか、混雑時間帯に増発や種別変更を行って利便性を向上します。

京急1500形電車による「エアポート急行」。2023年11月25日のダイヤ改正により「急行」へと種別名が変更される(Katsumi/TOKYO STUDIO)
京急1500形電車による「エアポート急行」。2023年11月25日のダイヤ改正により「急行」へと種別名が変更される(Katsumi/TOKYO STUDIO)

休日の座席指定「ウィング・シート」は減便

土休日の日中時間帯、泉岳寺駅〜三崎口駅間の「快特」のうち1両を座席指定で運転する「ウィング・シート」サービスは、2019年10月のダイヤ改正から本格導入されました。三浦半島方面への旅行や、沿線から横浜・都心方面へのお出かけをターゲットに、1席300円(KQuickでの発売料金)で快適に着席できるサービスとして拡充が続きましたが、登場から5年目で曲がり角に差し掛かります。

ダイヤ改正後、ウィング・シートが設定される最初の列車は下りが泉岳寺駅9:25発、上りは三崎口駅10:48発で、現行ダイヤより上下方面とも約30分繰り上がります。お昼前後以降の運転は60分の等間隔に揃えられ、時刻が覚えやすくなる反面、現在のおおむね40分間隔からは後退します。1日あたりの設定本数は下り8本、上り7本となり、現在よりもそれぞれ2本の減便です。

平日夜に下り方面へ8本運転している「イブニング・ウィング号」は、最後の2本にあたる14号・16号の運転形態が変わります。従来は8両編成の独立した座席指定列車でしたが、この2本に限り、改正後は快特の後ろに連結する4両を座席指定のイブニング・ウィング号として運転します。行先は金沢文庫駅行となり、品川駅発車後、最初の降車駅である上大岡駅まで後ろ4両のドアは開きません。

「一部座席指定」方式による優等列車の運行は名古屋鉄道や南海電気鉄道、京阪電気鉄道などに前例がありますが、イブニング・ウィング号への導入は今回が初めてです。コロナ禍を経て帰宅時間が早まった昨今のライフスタイルに合わせた見直しとのことで、編成短縮により提供座席数も約半分へと減少する点は注意が必要です。

メリットとして、当該2本は品川駅の発車ホームが3番線から1番線に変更となり、JR線や都営線からの乗り換えが楽になります。イブニング・ウィングとして初めて「Le Ciel(ル・シエル)」の愛称を持つ1000形1890番台が投入され、車内でトイレが利用可能となる点も改良ポイントに挙げられます。

(京急線ダイヤ改正前後の「ウィング・シート」設定比較、夜間増発列車の運転時刻など詳細は下の図表を参照)

【時刻表で解説】京急線ダイヤ改正前後の「ウィング・シート」設定比較、夜間増発列車の運転時刻

「飛行機マーク」取れ単なる「急行」に

一般列車は、混雑時間帯の利便性向上に重点が置かれます。平日朝ラッシュ時間帯は、品川駅8:00着の上り快特1本が「特急」に置き換えられ、神奈川新町駅や平和島駅などでの乗車機会が増加します。下り方面では、神奈川新町駅〜堀ノ内駅間に特急1本が増発されるほか、羽田空港第1・第2ターミナル駅発、京急蒲田駅行の普通列車1本が急行列車となり、金沢文庫駅まで延長運転します。

土休日ダイヤでは、羽田空港を23時台に出発する空港線列車が手薄なことから、品川駅方面の急行と、横浜駅方面の特急をそれぞれ1本増発して混雑緩和が図られます。

ところで、今回のダイヤ改正から「エアポート急行」の種別名称について、停車駅はそのままで「急行」へと改められ、駅や列車の種別表示から「飛行機マーク」が除去されます。初めて登場したのは、横浜方面の羽田空港直通列車が再編された2010年5月のダイヤ改正です。空港アクセス列車であることを識別やすくするために付与された呼び名ですが、13年あまりで消滅することになります。

ちなみに、京急にはほかに「エアポート快特」という種別名があります。こちらは通常の快特よりも停車駅が少ないという明確に区分すべき理由があり、改正後も呼び名はそのままです。

【六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー】52階の屋内展望台からは東京都心を一望! 当日のチケットカウンターで屋外展望台へのアップグレードも可能です。(提供:Klook)