「新京成」を京成が吸収合併 79年で会社消滅へ 効率化を加速 路線名・運賃・車両色は?

京成電鉄は、100%子会社である新京成電鉄を2025年4月1日付で吸収合併することを2023年10月31日(火)に開いた取締役会で決議しました。

左から新京成電鉄8800形、8900形、N800形、80000形電車(からのち/写真AC)
左から新京成電鉄8800形、8900形、N800形、80000形電車(からのち/写真AC)

人口減進む千葉北西部 効率化が不可避

会社法の定めにより株主総会の承認を得る必要のない簡易吸収合併で、存続会社は京成、消滅会社は新京成です。

京成電鉄は、成田山新勝寺への参拝電車として京成電気軌道の社名で1909年(明治42年)に設立されました。押上駅を起点として路線を段階的に西へと延ばし、京成成田駅まで開通したのは1930年(昭和5年)のことです。増加する通勤需要に対応するため、1933年(昭和8年)に上野公園駅(現在の京成上野駅)を開業、1960年(昭和35年)には日本初の地下鉄相互乗り入れを開始しました。

京成を象徴する空港特急「スカイライナー」の運転が開始したのは、成田空港に延伸開業した1978年(昭和53年)です。当時の成田空港駅(現在の東成田駅)は空港ターミナルから離れていましたが、1991年(平成3年)にターミナル直下への乗り入れが実現しました。2010年(平成22年)に都心からの最短ルート「成田スカイアクセス」が開業し、在来線列車で国内最速となる160km/h運転も始まりました。

かたや新京成電鉄は、旧陸軍鉄道連隊が所有する演習線の払い下げを受けた京成が1946年(昭和21年)に子会社として設立し、1947年(昭和22年)に新津田沼駅〜薬園台駅間を単線で営業開始しました。1955年(昭和30年)に松戸駅まで全線単線で開通、1975年(昭和50年)に新津田沼駅〜松戸駅間を複線化するなど輸送力強化を続け、2006年(平成18年)には京成千葉線への直通運転も開始しています。

新京成の地盤である千葉県北西部には高度成長期に建てられた団地が多く、生産年齢人口の減少という長期的な課題を抱えています。この地域の事業を伸ばしていくにあたり、経営資源の相互活用による競争力強化や、スケールメリットを活かした効率化が必要不可欠であると判断した京成は、新京成が発行するすべての株式を取得して2022年9月1日に完全子会社としました。

(吸収合併が決まった京成電鉄と新京成電鉄の直近の経営状況、各社の鉄道路線網など詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】吸収合併が決まった京成電鉄と新京成電鉄の直近の経営状況、各社の鉄道路線網

浸透した「新京成ブランド」どうする?

追加の取り組みとして今回決まった新京成の吸収合併について京成は、経営の効率化や意思決定の迅速化をさらに進め、経営資源を最大限活用することでシナジー効果をより早期に、確実に発揮することが目的と説明しています。京成の子会社でありながら東京証券取引所に上場していた独立色の強い新京成でしたが、吸収合併により解散し、会社としての歴史は79年で幕を閉じます。

新京成が運営する京成津田沼駅〜松戸駅間、26.5kmの新京成線は、2024年4月から京成による運営に切り替わりますが、路線名をどうするかは未定です。千葉日報の報道によると、新京成の運賃は京成線に組み込まず、現在の運賃体系を維持する方向で調整しているとのことです。また、新京成がグループに持つ船橋新京成バス、松戸新京成バスについては京成の完全子会社となります。

新京成は2014年(平成26年)にCI(コーポレート・アイデンティティ)を導入し、ピンク色のコーポレートカラーやシンボルマークを制定しました。これに沿って電車やバスの車体デザインも統一が図られており、地域に根づいている「新京成ブランド」を今後どのように取り扱うかなど、検討課題はたくさんありそうです。

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