福岡市地下鉄では現在、クレジットカードのタッチ決済機能を活用した乗車の実証実験が行われていますが、2023年3月27日(月)から対象駅が全線全駅に拡大するとともに、利用可能な決済ブランドが追加されます。
七隈線延伸開業と同時に
福岡市が展開している「福岡市実証実験フルサポート事業」は、先端技術を活用して社会問題の解決につなげるプロジェクトを全国から募集し、実証の場を提供しながら全面的に支援する取り組みです。地下鉄改札機の通過に関する実証プロジェクトは三井住友カード(本社:東京都江東区)が主幹となって提案し、採択されたものです。日本信号(本社:東京都千代田区)、QUADRAC(本社:東京都港区)、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(本社:東京都千代田区)の3社も共同で参画しています。
実証実験は、空港線の天神駅〜福岡空港駅間と、箱崎線の中洲川端駅〜呉服町駅間の計7駅で2022年5月から開始しました。対象駅の改札機または駅係員通路には、タッチ決済に対応した専用の読み取り部が設置されています。対応のクレジットカードなどをかざすと大人普通料金が自動的に決済され、事前の手続きやチャージをすることなく地下鉄に乗り降りできる仕組みです。
利用者から「対象駅を拡大してほしい」という声が多くあったとのことで、2023年3月27日(月)に七隈線が博多駅まで延伸開業することに合わせ、対象駅が全3路線・36駅に拡大します。新しく開業する櫛田神社前駅も対象です。全駅へのタッチ決済の導入は、地下鉄事業者として全国初となります。
併せて利便性向上のため、対応する決済ブランドは従来の「Visa」に加え、「JCB」「American Express」「Diners Club」「DISCOVER」および「銀聯」の計6種に拡大します。Diners、DISCOVER、銀聯ブランドでのタッチ決済による鉄道乗車は国内初対応です(タッチ決済を利用できる駅の路線図など詳細は下の図表を参照)。
「県外のアクティブな20歳代」利用多く
これまでの実証実験で利用した方の特徴として、約8割は首都圏・関西圏をはじめとする福岡県外の居住者で、性別にかかわらず特に20歳代の利用が多いとのことです。カードの利用統計と照らし合わせると、旅行や移動関連、エンターテイメント、ショッピングモールなどを頻繁に利用するアクティブな方の割合が高いとの傾向も出ています。
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三井住友カードは「県外から旅行などのために来福される方のうち、若い方を中心に、普段ご利用の交通系ICカードではなく、チャージレスで利用できるクレジットカードを選択される傾向がある」と分析しています。
また、38の国・地域で発行されたカードがすでに利用されており、日本入国時の水際対策が緩和した2022年10月以降、海外カードでの利用は拡大傾向にあるそうです。ちなみに、最も利用実績が多いのは韓国のカードで、タイ、米国、台湾、シンガポールがそれに続いています。
インバウンド旅客の本格的な回復が見込まれていることから、当初は2023年2月末までとしていた実証期間を2024年3月31日(日)まで延長した上で、効果の検証を続けるとしています。