りんかい線を運営する東京臨海高速鉄道は、安全・安定性を高めた新型車両「71-000形」を2025年度から導入し、現行車両の70-000形車両を順次置き換えていくと発表しました。
デザイン一新…先代70-000形の面影も
東京の臨海副都心エリアで大量輸送機関の役務を担うりんかい線の第2世代車両は、2025年度下期に最初の編成が営業運転を開始する予定です。
現行車両70-000形は、第一期事業区間である新木場駅〜東京テレポート駅間が開業した1996年(平成8年)3月にデビューし、すでに28年が経過しています。71-000形の導入車両数は10両編成8本の全80両で、東京臨海高速鉄道が現在保有している70-000形と同数です。2027年度上期までに全編成の置き換えを完了して世代交代を図る計画です。
71-000形の外観デザインは、東京湾ウォーターフロントの水辺の空間を表現したエメラルドブルーのグラデーションが印象的です。海や波のおおらかさを感じられるよう、前面上部のひさし形状で横方向への広がりが強調されています。「優しい微笑み」をイメージした親しみやすい前面のカラーリング、ホームドアの高さを考慮して車両腰部から上に広がる側面カラーリングも特徴的です。
ホワイトを基調としてグレーやネイビーでまとめた内装は、臨海副都心の洗練された都市景観のイメージです。グレーとブルーのブロック柄が施された座席にも、都会的でクールな雰囲気が表現されています。優先席にはほかとは異なる、落ち着いた印象のピンク色が用いられています。
内外とも趣向を凝らした車両デザインですが、外観ではカラーリングや丸みを帯びた前面形状、内装では車両連結面の木目柄化粧板など、先代70-000形の面影を継承している箇所もあるとのことです。
(東京臨海高速鉄道が導入するりんかい線新型車両71-000形の特徴、インテリアデザインなど詳細は下の図表を参照)
車体も座席も幅を広げて快適度UP
混雑時における圧迫感の緩和を目的に幅広車体が採用されているのも71-000形の特徴で、ストレート車体の70-000形と比べて車体幅が150mm拡大します。閉塞感を低減する柔らかな光の天井照明、従来より10mm拡大した座席幅、ガラスを使用した大型の座席袖仕切りも車内の快適性を向上させる要素です。車内にはカビや花粉などを抑える機器が搭載され、空調装置の冷房能力も強化されます。
バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点では、床面の高さが従来より50mm下げられホームとの段差が低減するほか、荷棚や吊手が使いやすいよう低めの位置に変更されます。車いすやベビーカーが利用しやすいフリースペースはすべての車両に設置されます。ドア上部には開閉を知らせるチャイムや表示灯、開いているドア位置を示す誘導鈴のほか、2画面の液晶ディスプレイも装備されます。
車内セキュリティ対策としては全車両に防犯カメラが搭載され、客室から乗務員と通話できる非常通報装置も1両あたり4台設置されます。
車両の各機器を制御する列車情報管理装置のシステムや主要電気機器は、故障発生時に機能全体が停止しないよう二重化されます。先頭車両の前面には衝撃吸収材が設置されており、高い剛性の車両鋼体も相まって万が一の衝撃時にも安全の確保が図られています。