【特集】観光型MaaSは「広く・深く」 JR東日本「TOHOKU MaaS」を東北6県に拡大

2021年4月1日(木)〜9月30日(木)に実施される「東北デスティネーションキャンペーン(DC)」にあわせ、JR東日本は東北6県で観光型MaaS「TOHOKU MaaS」(トウホク マース)を展開します。

羽越本線などに使用されているJR東日本701系電車(写真AC/fuku41)
羽越本線などに使用されているJR東日本701系電車(写真AC/fuku41)

2度の実証実験により練り上げられた観光型MaaS

MaaSとは「Mobility as a Service」の略語で、スマートフォンなどの技術を用い、さまざまな移動手段を統合した一つのサービスとして提供する仕組みを意味します。移動手段に加え、旅行先でのグルメ、買い物などのアクティビティに関するメニューが組み合わされたサービスは「観光型MaaS」と呼ばれています。

「TOHOKU MaaS」はスマートフォン向けWEBサイトとして提供され、アプリのダウンロード等は不要なサービスです。2020年2月に仙台圏で初めて実証実験が行われました。その後、9月〜11月には対象エリアを宮城県内に拡大したうえで新たな機能や電子チケットが実装され、第2弾の実証実験が展開されました。

これらの実証実験を通して確認された実用性などの知見をもとに、東北DCにおいて観光客を迎え入れる体制づくりの一環として拡充され、DC期間にあわせて東北6県で各種サービスが提供されます。

各自治体や観光施設のほか、岩手県交通、ミヤコーバス、山交バス、庄内交通といった民間バス会社をはじめとする交通事業者とも連携が取られています。ほかのエリアでも地域限定MaaSが続々と立ち上がっていますが、満を持して本格サービスインを迎える「TOHOKU MaaS」は、エリアは広く、内容は深く掘り下げられ、日本を代表する観光型MaaSに成長しているようです。

東北6県8エリアで提供される多彩な交通サービス

「TOHOKU MaaS」の展開エリアは、青森県「青森・弘前エリア」、岩手県「一関・平泉エリア」、宮城県「仙台・宮城エリア」、秋田県「秋田・男鹿エリア」「角館エリア」、山形県「置賜エリア」「庄内エリア」および福島県「会津エリア」です。これらのエリアでは、新たな交通手段として運行される「オンデマンド交通」や、鉄道・バスが乗り降り自由となるフリーパスなどが提供され、スマートフォン一つで便利に移動できる環境が整います。

東北DC期間中は、観光地を自由に散策できる乗合交通サービス「オンデマンド交通」が弘前(青森県)、一関(岩手県)、秋保(宮城県)および角館(秋田県)の4エリアで運行されます。いずれのエリアも運行時間は8:30〜17:30で、利用したい当日にサイト上で予約・決済して乗車することができます。運賃は1人1回300円または500円で(大人・子ども同額)、運転士にスマートフォン画面のチケットを見せ、画面の使用ボタンを押すだけで乗車できます。

オンデマンド交通に乗降できるスポットは、エリアごとに40か所程度設定されています。観光スポットだけでなく、スーパーや病院など日常生活に密着した店舗や施設でも乗降可能となっており、地域住民の生活の足としての需要を掘り起こす狙いもあるようです。

角館の武家屋敷と枝垂れ桜(写真AC/yuzitan)
角館の武家屋敷と枝垂れ桜(写真AC/yuzitan)

JR線や他社鉄道線、路線バスなどが乗り放題となるフリーパスは、既存商品の電子チケット版に加え、「TOHOKU MaaS」限定チケットも発売されます。例えば、紙のきっぷで発売されている「仙台まるごとパス」は、仙台市内の地下鉄・バスに加え、仙台近郊のJR線などが2日間乗り降り自由となる企画乗車券ですが、フリー区間の東端は松島駅・松島海岸駅までとなっています。「TOHOKU MaaS」限定の交通チケットとして発売される「仙台まるごとパスワイド」なら、フリー区間が石巻駅・小牛田駅まで拡大され、より広範囲に散策を楽しむことができます(交通チケットの路線図は下図を参照)。

「TOHOKU MaaS」限定チケットとしては上記のほか、「青森・弘前フリーパス(ベーシック/セミワイド)」「秋田・男鹿フリーパス」「庄内・最上川パス」「米沢赤湯回廊パス」がラインナップされています(路線図は下図を参照)。

そのほか交通手段として、主要駅から利用できる「駅レンタカー」(東北6県30営業所発着)の特別価格での予約や、東北各県の「定員制高速バス」「空港連絡バス」の交通チケットも提供されます。また、東北の都市間を結ぶ「予約制高速バス」についても「TOHOKU MaaS」サイト上で予約・決済が行えるようになる予定です(準備中のため後日開始)。

【路線図で解説】JR東日本 「TOHOKU MaaS」の主な交通チケット

交通モードや事業者の枠にとらわれることなく最適な移動手段を提案してくれることろがMaaS本来の存在メリットです。「TOHOKU MaaS」は現時点では主力エリアが限定されており、東北を面として広くカバーしているわけではありませんが、それぞれのエリアにおいては多くの選択肢を用意しMaaSの理想形が追求されていることが伺えます。

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