JR東海とJR西日本は、東海道・山陽新幹線の駅や車内で快適に仕事ができるようビジネス環境を整備します。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とし、テレワークやWeb会議といった場所を選ばない新しい働き方が広がっていることを踏まえた取り組みです。新幹線の乗車前後でシームレスに仕事ができるなど、利用者のワークスタイルに応じた移動時間を過ごせる環境を新たに整備し、働き方の変化に対応します。
車内での試行サービスとして、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」7号車(普通車指定席)を「S Work車両」と名付け、パソコンやタブレットなどのモバイル端末を気兼ねなく利用して仕事ができる車両に設定します(詳細は下図を参照)。周りの方へ配慮の上、携帯電話での通話やWeb会議等も座席で行うことができます。「S Work車両」は車両タイプにかかわらず設定されますが、特にN700Sには全座席にコンセントが設置されているため、充電を気にせず利用することができます。「S Work」には「新幹線(Shinkansen)でシームレス(Seamless)に仕事(Work)を」の意味が込められています。
2021年10月1日(金)運転の列車からサービスが開始されます。試行期間は2022年3月31日(木)までですが、年末年始の2021年12月28日(火)〜2022年1月6日(木)は「S Work車両」の設定がありません。
「S Work車両」はEXサービス(「エクスプレス予約」「スマートEX」)でのみ予約できる座席として発売されます。おねだんはEXサービスで普通車指定席を予約する場合と同額で、追加料金なく利用できます。予約は大人1名専用で、複数名での予約はできません。また、小児用の設定はありません。9月1日(水)から予約受付を開始し、乗車日の1か月前10時から当日発車時刻の4分前まで購入することができます。
なお、N700Sで運転される「S Work車両」では、快適な作業のためのビジネスサポートツールが無料で貸し出されます。貸し出し区間は東海道新幹線の新横浜駅〜京都駅間限定で、用意されるツールは「膝上クッション」「簡易衝立」「PC用ACアダプタ」「USB充電器」「小型マウス」などです(数量限定)。関連して、東海道新幹線主要駅(東京駅・品川駅・新横浜駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅)では、INFORICHによるモバイルバッテリーの貸し出しサービス「ChaegeSPOT」が10月1日(金)から提供されます。
また、N700Sの7号車(普通車)と8号車(グリーン車)には新たな無料Wi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」が2021年10月以降順次導入されます。通信容量は従来サービス「Shinkansen Free Wi-Fi」の約2倍に増強され、利用時間の制限が設けられないため長時間のPC作業も快適です。ビジネス利用を想定してWPA2-PSK方式による暗号化が設定されます。なお、「Shinkansen Free Wi-Fi」も全号車で引き続き利用できます(30分に再接続が必要)。
同じくN700S専用サービスとして、周囲を気にせずに打ち合わせなどで利用できる「ビジネスブース」が一部の編成に試験的に導入されます。7号車・8号車間のデッキ部にある「喫煙ルーム」を改造して整備されるもので、2022年春以降に順次利用できるようになります。この試験導入に先立ち、東海道・山陽新幹線(16両編成)では7・8号車間の「喫煙ルーム」は2022年春をめどに終了となる予定です。
さらに、東海道新幹線の駅でもビジネス環境が整備されます。東京駅・名古屋駅・新大阪駅の一部の待合室には、無料の「ビジネスコーナー」と「コンセントポール」が2021年9月から順次設置されます。「ビジネスコーナー」は半個室タイプで、周りの目を気にせずに仕事をすることができます。
2021年12月上旬からは、EXサービス会員の個人・法人向けにワークスペース事業「EXPRESS WORK」が展開されます。会員は、東海道新幹線の一部の駅に設置されるボックス型のワークスペース「EXPRESS WORK – Booth」や、オフィス型ワークスペース「EXPRESS WORK – Lounge」を有料で利用することができます。
「EXPRESS WORK – Booth」は、東京駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅に各2台設置されるほか、名古屋駅直結の「JRセントラルタワーズ」15階にも4台設置されます。個室なので集中して作業ができ、Web会議中でも周囲の目が気になりません。
「EXPRESS WORK – Lounge」は、東京駅直結の「丸の内東京ビル」に開設される落ち着いた雰囲気のビジネスラウンジです。明るく開放的で通話・会話も可能な「オープン席」、Web会議や作業に便利な「個室席」、複数人の打ち合わせなどに使える「会議室」が用意され、取引先の訪問前後のミーティングや資料準備などに便利です。
そのほか山陽新幹線沿線でも、ブース型ワークプレイスやシェアオフィスのほか、JR西日本グループの資産を活用したワークプレイスなどが試行的に展開される予定です。