相模鉄道(相鉄)と東急電鉄は、2023年3月に開業を予定している「相鉄新横浜線」「東急新横浜線」(計10.0km)について、運行計画の概要を発表しました。
相鉄本線・いずみ野線からの直通先を固定
新しく整備されるのは、相鉄新横浜線の羽沢横浜国大駅〜新横浜駅間(4.2km)と、東急新横浜線の新横浜駅〜日吉駅間(5.8km)です。相鉄本線・いずみ野線、東急東横線・目黒線などと相互直通運転することにより、神奈川県央地域から東京都、埼玉県に至るまでの広域鉄道ネットワークが形成されます。新横浜駅で直結する東海道新幹線へのアクセスが向上するほか、特に相鉄沿線からは、都心直通ルートの選択肢が増えることにより乗り換え回数の低減、所要時間の短縮が図られます。
相鉄は1日あたり約100往復、上下合わせて約200本の東急線直通列車を運転します。運転系統は基本的に相鉄本線から目黒線方面、いずみ野線からは東横線方面への直通に統一されますが、朝ラッシュ時間帯の一部列車についてはこの限りではありません。東急直通線に入る列車種別は、本線が特急と各駅停車、いずみ野線は特急・通勤特急・各駅停車です。いずみ野線の特急列車は、2019年11月のダイヤ改正により設定が廃止されましたが、今回、東急線直通列車として復活します。
朝ラッシュ時の最大本数となるのは西谷駅7:20〜8:20発の時間帯で、本線から4本、いずみ野線から7本の計11本の列車が新横浜駅方面に設定されます。また、日中時間帯以降の東急直通線は、片道1時間あたり4〜8本の運転となります。本線の海老名駅からの所要時間は、最も速い列車で新横浜駅まで25分、目黒駅まで53分です。また、いずみ野線の湘南台駅からは新横浜駅まで23分、渋谷駅までを51分で結びます。いずれも横浜駅を経由する現在の経路に比べて所要時間が20分以上短縮され、乗り換えも不要となります。なお、直通列車に使用する車両は、東横線向けが10両編成の20000系、目黒線向けは8両編成の21000系です。
相鉄線内の新ダイヤのポイントとしてはそのほか、東急線直通列車の運転開始に伴い、西谷駅始発の横浜駅行および、横浜駅発・西谷駅行の区間運転列車が新たに設けられます。本線の特急列車、いずみ野線の快速列車は運転時間帯が現行ダイヤよりも拡大されます。また、相鉄新横浜線の西谷駅〜新横浜駅間を含むIC通勤定期券をお持ちの方を対象に、相鉄線横浜駅での乗り降りを追加運賃なしで可能とする新サービス「YOKOHAMA どっちも定期」が東急直通線の開業と同時に開始します(相鉄・東急新横浜線の運行ダイヤ、列車種別と停車駅などの詳細は下の図表を参照)。
目黒線急行が最大5分速達化
東急が発表したダイヤ概要によると、東急新横浜線から東横線に直通する列車はすべて急行で運転し、目黒線へは急行と各駅停車が直通します。東急新横浜線の新横浜駅、新綱島駅にはすべての列車が停車します。
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朝ラッシュ時、東急新横浜線には1時間あたり最大16本の列車が運転され、そのうち4本が東横線、12本が目黒線に直通します。この目黒線直通列車のうち、最大5本は新横浜駅始発となります。東急新横浜線から東横線に直通する急行列車は、現行ダイヤで1時間あたり4本設定されている菊名駅始発の各駅停車からの置き換えです。これにより、東横線内で急行の本数が1時間あたり最大8本に増える一方、減少する各駅停車は4〜7分間隔での運転に統一され、できる限り利便性の維持が図られます。
朝ラッシュ時の目黒線では、東急新横浜線からの直通列車以外に、1時間あたり10本の日吉駅始発列車が残されます。急行列車の速達化も同時に行われ、各駅停車の追い越し駅を原則として武蔵小山駅から奥沢駅に変更することにより、急行の日吉駅から目黒駅までの所要時間は約2分短縮され、約20分となります。さらに、奥沢駅と武蔵小山駅の両方で各駅停車を追い越す急行も設定され、日吉駅から目黒駅間まで最大5分短縮の約17分で結びます。
なお、東急新横浜線の日中時間帯の運転本数は1時間あたり6本で、うち2本が東横線、4本が目黒線直通列車です。目黒線へ直通する4本のうち2本は新横浜駅始発になります。新たに乗り換えなしで結ばれる新横浜駅への所要時間は、最速列車で渋谷駅から25分、自由が丘駅から15分、目黒駅からは23分です。東急では、東急新横浜線に開業する新綱島駅と、近接する東横線の綱島駅の両駅について、東横線・目黒線方面への運賃が同額となるよう設定するとともに、条件を満たす定期券についても相互の駅で乗降を可能とする取り扱いを適用します。また、東急は現在、目黒線でワンマン運転を実施していますが、直通する東急新横浜線にワンマン区間を拡大するとともに、東横線でも全線でワンマン運転を開始します。
今回開業する相鉄・東急新横浜線の新横浜駅では、歩行者デッキなどを介して新幹線に乗り換えることができます。周辺には大規模な集客施設が複数あり、相鉄・東急沿線住民だけでなく、都心部や中京・関西圏からの来訪も期待できるエリアであることを考慮し、相鉄と東急は同駅を共同で管理します。2つ設けられる改札口のうち、羽沢横浜国大駅寄りの南改札を相鉄、新綱島駅寄りの北改札口を東急が運営し、さまざまな利用者にきめ細かいサービスを提供していくとのことです。