90年ぶり新駅舎 線路上空に「アトレ」併設 中野駅 待望のエレベーターも設置 いつ開業?

JR東日本は、中央線中野駅(東京都中野区)の西側線路上空に南北自由通路と駅ビルを併設した新たな橋上駅舎を建設し、混雑緩和や利便性の向上、にぎわいの創出を目指します。

中野駅西側に2026年開業を目指して整備される新駅舎・駅ビルの外観イメージ(北西側から)(画像提供:JR東日本)
中野駅西側に2026年開業を目指して整備される新駅舎・駅ビルの外観イメージ(北西側から)(画像提供:JR東日本)

“混んでて使いづらい駅”汚名返上へ

中野駅の開業は1889年(明治22年)ですが、大規模な掘り下げ工事の末に現在の地平駅舎が完成したのは1928年(昭和3年)です。東京メトロ東西線の始発駅となり交通結節機能が向上し、現在は1日約15万人の利用者数がある地域の主要拠点です。しかし、駅構内は90年以上大きな改良がなく、多くの時間帯で乗り換え客による混雑が見られます。

また、ホームへ行けるエレベーターがない点など、バリアフリー設備の整備において周辺の駅に遅れを取っています。さらに、駅南北をつなぐ歩行者動線が中野通りの幅の狭い歩道に限られており、まちづくりの分断という課題も抱えています。

このような問題を解決して駅や周辺の利便性を高めるため、2014年(平成26年)6月にJR東日本と中野区、東京メトロが新しい自由通路と駅舎の整備に関する事業化の協定を結びました。2020年度から工事が本格化し、建物が覆いかぶさる既存ホームや屋根の改良、人工地盤の杭打ち、建物本体の工事が順次始まっています。新駅舎と南北自由通路は2026年中の開業を予定しています。

5階建て駅ビルの2〜4階部分には、JR東日本グループのアトレ(本社:東京都渋谷区)が運営する商業施設が整備されます。地元商店街との役割分担に配慮しながら生活利便機能を導入したい考えで、開業時期については検討中とのことです。壁面や屋上の緑化、木材の活用などにより、環境配慮や周辺景観との調和も図られます。

(中野駅西側に整備される新駅舎・駅ビルの外観・内装イメージ、事業範囲の平面図など詳細は下の図表を参照)

【図表で解説】中野駅西側に整備される新駅舎・駅ビルの外観・内装イメージ、事業範囲の平面図

地平にある現在の北口・南口駅舎はどうなる?

新駅舎には西口(仮称)改札が設けられ、各ホームと結ぶ4基のエレベーターと、多機能トイレを含む旅客トイレの新設によりバリアフリー面の遅れを取り戻します。JR東日本クロスステーション(本社:東京都渋谷区)が手掛けるエキナカ商業施設も展開され、災害時には一時滞在場所としてコンコースを開放することも計画されています。また、各ホームにはホームドアが設置される予定です。

改札口は、駅と一体構造で整備される幅19mの南北自由通路に面しており、両端に整備される駅前広場と接続することでバスなどとの乗り換えが円滑になります。

新駅舎の北西側は新たなまちづくりが先行している地区で、都市公園や大学、オフィスなどで構成する新都心「中野四季の都市(まち)」が整備されています。2023年7月に閉館した複合施設「中野サンプラザ」や、移転予定の中野区役所の現在の敷地を含めて周辺再開発をさらに進める計画で、魅力ある玄関口としての新駅舎に区は期待を寄せています。

なお、地平の北口・南口を有する現在の駅舎は、北口改札を一部改修した上で今後も併用されます。中野通りの線路高架下にあるバスのりばは駅前広場に移設され、現駅舎に面した歩道を拡幅することにより既存市街地側も回遊性向上が図られます。

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