JR北海道は、廃止が決まった留萌本線の石狩沼田駅〜留萌駅間で車両の増結運行を行い、最終運行日となる2023年3月31日(金)には各駅でお別れセレモニーなどのイベントを開催します。
廃止日を4月1日に繰り上げ
1910年(明治43年)11月23日に開通した留萌本線ですが、近年は輸送密度(1km当たりの1日平均旅客数)が200人未満と極めて少なくなっています。今後の線路設備の維持更新にかかる費用は30億円規模に上ることもわかり、JR北海道は2016年(平成28年)に「単独では維持することが困難な線区」の一つとして公表しました。
持続可能な交通体系のあり方についてJR北海道と地域自治体が話し合いを重ねた結果、石狩沼田駅〜留萌駅間を先行して廃止し、バスを中心とした交通体系に転換することが決まりました。さらに、残りの深川駅〜石狩沼田駅間についても廃止すること、代替交通や各自治体のまちづくりに対してJR北海道が支援を行うことについても合意しています。
石狩沼田駅〜留萌駅間についてJR北海道は2022年9月9日(金)、国土交通大臣に対して2023年9月30日を廃止日とする鉄道事業廃止の届出を行いました。鉄道営業法は廃止予定日の1年以上前に届出を行うよう定めている一方、廃止日の繰り上げ特例も設けています。北海道運輸局は関係自治体などに意見聴取を行い、「公衆の利便を阻害するおそれがない」と認めました。これにより、JR北海道の要望通り、2023年4月1日(土)に廃止日を繰り上げることが確定しました(留萌本線の路線図、ヘッドマークのデザイン、最終運行日イベントの内容など詳細は下の図表を参照)。
「ヘッドマーク」は最終運行日のみ
廃止区間の列車の運行と駅の営業は、2023年3月31日(金)最終列車を持って終了します。3月18日(土)以降は混雑緩和のため、各列車とも普段より1両多い、キハ54形気動車2両編成による運行が始まっています。さらに、ラストランの3月31日(金)は、キハ54形1両にキハ150形3両をつないだ4両編成での運行が予定されています。
また、廃止区間の留萌市と沼田町のそれぞれをイメージした2枚のヘッドマークが作成され、最終運行日の1日限定で車両に掲出されます。留萌市のデザインは、カモメが飛び交う名称「黄金岬」と日本海に沈む夕日がモチーフになっています。沼田町のヘッドマークは町特産のトマトの赤色が基調となっており、1999年(平成11年)のNHK連続テレビ小説「すずらん」の中で「明日萌(あしもい)駅」としてロケに使われた恵比島駅の駅舎が描かれています。
最終運行日の2023年3月31日(金)には、留萌駅と恵比島駅でJR北海道が主催する「お別れセレモニー」がお昼頃の列車の出発に合わせて実施されます。主催者や来賓の挨拶、花束の贈呈、出発合図やお見送りなどが予定されていますが、一般用の駐車場は用意されないので見学の際は注意が必要です。
また、石狩沼田駅、真布駅、恵比島駅、峠下駅、幌糠駅ならびに留萌駅では、留萌市や沼田町、観光協会などが主催するラストランお別れイベントも予定されています。最終列車などの出発に合わせたお見送り、地元の方々による吹奏楽や太鼓の演奏、グッズ販売など行われ、110年以上続いた鉄路の締めくくりに花を添えます。