東武鉄道は、2023年度の鉄道事業における設備投資計画を発表し、総額377億円を投じて立体交差化や駅バリアフリー化、自動運転の実現に向けた検証などを実施します。
とうきょうスカイツリー駅・春日部駅など立体交差化
踏切での渋滞や事故を抜本的に解消し、分断された周辺市街地の行き来をスムーズにするため、同社は沿線5か所で鉄道の連続立体交差化を進めています。
東武スカイツリーラインのとうきょうスカイツリー駅付近では、2022年度に使用が開始された上り線高架橋に続き、今年度は下り線の高架橋工事が続けられます。竹ノ塚駅付近では引上げ線高架橋工事などを行い、今年度で事業が完了する予定です。春日部駅付近の高架化では2022年度に東口仮駅舎が設け、今年度は東武スカイツリーライン上り仮線の工事が実施されます。
東武アーバンパークラインで立体化される清水公園駅〜梅郷駅間のうち、今年度は引き続き野田市駅部分の高架橋工事が行われ、新駅舎の使用開始と2面4線化の完成を目指します。東上線大山駅付近では東京都を主体とする連続立体交差事業の実施が決まっており、工事の着手に必要な設計や準備工事が進められます。
安全対策としてそのほか、車内防犯カメラの設置拡大、自然災害への備えの強化、踏切設備の更新、線路保守用車両の更新が計画されています。
日光・鬼怒川エリアの観光輸送を喚起するため、新型特急「スペーシア X」N100系が2編成、2023年7月15日(土)から運転開始します。これに合わせて浅草駅と東武日光駅の改修も行われます。N100系は2024年度の導入に向け、さらに2編成が製作されます。通勤形車両では、10050型車両の7編成でリニューアル工事が施工され、ワンマン運転線区の佐野線・小泉線・桐生線に投入する計画です。
東武アーバンパークライン七里駅で行われてきた橋上駅舎化工事は今年度中の完成を予定しており、駅北側には駅前広場も整備され、利便性が向上します。そのほか、東武スカイツリーラインの北春日部駅、伊勢崎線の花崎駅と加須駅、東武アーバンパークラインの新柏駅で駅舎のリニューアル工事が引き続き進められます(東武鉄道の2023年度鉄道事業設備投資計画、ホーム柵の整備状況など詳細は下の図表を参照)。
バリアフリー料金活用しホーム柵を整備
転落防止を目的としたホーム柵の整備もさらに進められます。五反野駅、谷塚駅、草加駅(3・4番線)、新田駅の4駅では可動式ホーム柵(ホームドア)、新柏駅、鎌ケ谷駅、馬込沢駅の3駅では固定式ホーム柵が今年度中に使用開始となる予定です。さらに、11駅(可動式9駅、固定式2駅)で今年度中にホーム柵の設置工事に着手します。
なお、固定式ホーム柵の整備駅では、ホームの端に人が近づくと注意喚起放送が流れ、列車や駅に通報される「ホーム監視装置」も順次設置されます。
同社は2025年までに対象130駅をバリアフリー化することとしており、今年度は宇都宮線のおもちゃのまち駅でエレベーターを新設、東上線の朝霞台駅でエレベーター工事に着手します。そのほか、ホームと車両の段差・隙間縮小、トイレのリニューアルなども推進されます。
なお、ホーム柵など駅設備のバリアフリー化を加速させるため、国は2021年度に「鉄道駅バリアフリー料金制度」を創設しました。東武では2023年3月18日(土)から鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始しており、各種設備の整備費などに充当します。
新しい技術も積極的に導入されます。大師線では添乗員付き自動運転(GoA3)の実現に向けた検証が進んでおり、今年度は前方障害物検知システム、地上センサーの検証試験、車両の設計業務が実施されます。また、車両の走行データを有効活用するシステム「Remote」の導入拡大、施設保守のデジタル化が実施されるほか、電力使用量の低減が図れる装置を変電所に順次導入します。
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