新たな観光列車への改造が決まっているキハ47形のD&S列車(観光列車)、特急「いさぶろう・しんぺい」に乗車できる最後のチャンスとして、JR九州はオリジナルの特別ツアーやイベントを続々と展開します。
「新たな観光列車」へ生まれ変わる前に
「いさぶろう・しんぺい」の本来の運行区間は、2020年7月豪雨被害により運転を見合わせている肥薩線の熊本駅・人吉駅〜吉松駅間です。鮮やかなえんじ色に塗られた車体は、緑豊かな沿線でひときわ存在感を放っていました。日本三大車窓「矢岳越え」区間での速度を落としての運転、スイッチバック駅などでの長時間停車など、鉄道旅の醍醐味を味わえる列車として活躍していました。
列車名は、肥薩線の難工事を成し遂げた際の鉄道員総裁である後藤新平と、人吉駅〜吉松駅間が建設された当時、逓信大臣であった山縣伊三郎の名前が由来となっています。明治時代から鉄道の歴史を刻んできた肥薩線ですが、不通区間の復旧が見通せない状況下、「いさぶろう・しんぺい」は別区間で臨時列車や団体専用列車として限定的に運用されています。
同車両は、2023年10月から小倉総合車両センターに入場し、改造工事が始まります。豊肥本線を運行するD&S列車として2024年春に新たな装いで登場することが決まっており、現在の姿が見られるのはあと1か月足らずです。
(特急「いさぶろう・しんぺい」特別運行ツアー各コースの行程と停車駅、旅行代金など詳細は下の図表を参照)
「車両センター発・車両センター行」も
「いさぶろう・しんぺい」は2023年9月15日(金)〜19日(火)の5日間、特別運行ツアーとして南九州を巡ります。初日は熊本駅を出発して豊肥本線経由で大分駅に到着するコースで、2日目以降は日豊本線や吉都線、肥薩線を中心に宮崎・鹿児島方面を走行します。レトロデザインの座席や展望スペースから各地の車窓をじっくり楽しめるほか、一部停車駅では地域のおもてなしも予定されています。
9月20日(水)は大分車両センターから熊本車両センターまでという、同社オリジナルツアーとして初めての行路で運行します。大分車両センターの出発前には、車両の外観を見学できる時間が約30分間設けられます。通常のホームではない場所での珍しい乗降体験ができるほか、終着の熊本車両センターでは「洗浄線」の通過も予定されています。
いずれのツアーも、インターネット予約サイト「STORES」内のJR九州トラベルデスクで募集が始まっています。各日とも日帰りの添乗員同行プランで、旅行代金はお一人11,000円〜18,000円(大人)と、コースにより設定が異なっています。
南九州巡行中の9月18日(月・祝)には、鹿児島車両センターで「いさぶろう・しんぺい」の外観や運転台を見学できるイベントが計画されており、近日中に発売予定です。また、「いさぶろう・しんぺい」としてのラストランとなる10月4日(水)、同列車に乗って博多駅から小倉総合車両センターに乗り入れるツアーを現在企画中で、詳細が決まり次第、公式SNSなどで告知するとのことです。