山形新幹線に新型車両E8系 試運転ついに開始 E3系「つばさ」当初のシルバーカラー復刻

JR東日本は、2024年春から営業運転を開始する山形新幹線の新型車両「E8系」について、最初の1編成の“お披露目撮影会”を開催したのち、約1年間にわたって試運転を実施します。

2024年春に山形新幹線・東北新幹線で営業運転を開始する予定のJR東日本E8系のエクステリアデザイン(イメージ)(画像提供: JR東日本)
2024年春に山形新幹線・東北新幹線で営業運転を開始する予定のJR東日本E8系のエクステリアデザイン(イメージ)(画像提供: JR東日本)

3m長い“鼻”で300km/h走行実現

E8系は「豊かな風土と心を編む列車」をコンセプトとしており、山形新幹線の地域に根ざしたイメージを継承し、さらに熟成したデザインとなっています。車体上部から“おしどりパープル”、“紅花イエロー”、“蔵王ビアンコ”という、山形の風土をイメージしたカラーリングが施されています。

先頭部分の長さは現行の山形新幹線車両E3系よりも3m長い9mで、より進化した印象のアローラインを描いています。E8系の営業最高速度は、E3系の275km/hから引き上げられ、新幹線区間では300km/hでの走行が可能となります。E5系との併結運転を行い、300km/h走行が可能な東北新幹線の宇都宮駅〜福島駅間で性能をフルに発揮することにより、所要時間の短縮を目指します。

ちなみに、320km/h走行が可能な秋田新幹線E6系の先頭長はより長い13mで、“鼻”の長さと最高速度には、流体力学をもとにした相関関係があるようです。

インテリアデザインにも工夫が凝らされ、車内通路に最上川の流れをモチーフとした柄が施されるなど、山形の風土との結びつきを乗車中も感じさせてくれます。普通車を含む全座席にコンセント、全号車に大型荷物置場が設置され、旅行ニーズの多様化に応えます。また、車椅子スペースが増設され、バリアフリー対応も充実します。そのほか、在来線区間は積雪寒冷地であることを考慮し、車両への着雪対策のためのヒーターを台車部に搭載することで、輸送安定性の向上が図られます。

E8系のデザインは、山形市生まれの工業デザイナー、奥山清行氏が代表を務めるKEN OKUYAMA DESIGN(東京都渋谷区)が監修し、製造メーカーの川崎車両(本社:神戸市)がデザインを担当しています。

なお、現行のE3系はもともとは秋田新幹線向けに導入された車両であるため、山形新幹線としては1992年(平成4年)開業時の400系以来、E8系は約30年ぶりの新型車両となります(E8系のインテリアデザイン、撮影会など詳細は下の図表を参照)。

【写真で解説】JR東日本 山形新幹線の新型車両「E8系」が試運転開始

“誰よりも早く”E8系を間近で

河北新報などの報道によると、最初のE8系車両は神戸港から船で輸送され、2023年1月29日(日)午前に仙台塩釜港に到着したとのことです。このあと、陸路で宮城県利府町の新幹線総合車両センターに搬入され、2月末からは、車両性能の確認などを目的とした試運転が始まります。

2023年2月24日(金)には、まだ本線上で走行していないE8系を一般の方へ初めて披露する撮影会イベントが同車両センターで開催されます。先頭1両分が撮影可能エリアとされ、報道公開でおなじみのアングルをはじめ、さまざまな角度からE8系を間近に撮影することができます。参加費用はお一人30,000円で、JR東日本の通販サイト「JRE MALL」で100名限定で販売されます。

一方で、既存のE3系「つばさ」車両の1編成が懐かしい“シルバーカラー”での運転を始めます。山形新幹線E3系デビュー当時の雰囲気を再現したもので、2016年10月に“おしどり”を表現した塗色へ統一されてから、約6年半ぶりの復刻となります。

シルバーカラーE3系の運用初列車は、2023年2月11日(土・祝)に山形駅を10:57に発車する、上り「つばさ138号」です。当日はこの列車の出発に合わせ、山形市長、やまがた女将会会長が出席する記念セレモニーも開催される予定です。2023年は、試運転を開始する次世代車両E8系と、400系のイメージを受け継ぐシルバーカラー「つばさ」が競演する山形新幹線に注目が集まりそうです。