バリアフリー料金上乗せでホームドア整備加速 小児運賃「一律50円」は据え置き 小田急

小田急電鉄は、国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」を2023年3月に導入し、ホームドアの設置やエレベーターの更新などバリアフリー整備を加速します。

小田急3000形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)
小田急3000形電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)

2023年3月から運賃に10円加算

同制度は、年齢や障害の有無にかかわらず、誰でも安心して移動できる環境の整備を促すことを目的に2021年12月に制定されました。バリアフリー料金は運賃に上乗せ徴収され、設備の恩恵を受けるすべての利用者が薄く広く負担します。徴収した料金は全額が駅施設のバリアフリー化のための整備費に充当され、従来より速いペースで設備の充実を図ることができる仕組みです。

小田急が2022年8月4日(木)に国土交通省へ届け出た計画によると、2023年3月頃からバリアフリー料金が適用され、小田急線全線の普通運賃(大人)に10円が一律で加算されます。ただし、ICカード利用による小児運賃は子育て応援の取り組みとして2022年3月12日から全区間50円に設定されており、これを据え置くためバリアフリー料金は設定されません。また、通勤定期券はバリアフリー料金相当分が値上げとなりますが、通学定期券については対象外となり、加算は行われません(バリアフリー料金額、ホームドア設置駅の路線図など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】小田急 「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用し設備の整備を推進

新宿〜本厚木間は全駅ホームドア完備へ

小田急はエレベーターや車いす用スロープによるバリアフリールートの確立をすでに全70駅で完了しており、バリアフリートイレも全駅に設置済みです。一方、ホーム上の事故を未然に防ぐホームドアは、新宿駅など1日あたり10万人以上の利用者がある駅で優先的に整備されていますが、現在までの導入実績は8駅にとどまっています。2022年度には特急車両にも対応したホームドアの導入が本厚木駅で計画されていますが、バリアフリー料金の活用により今後は設置スピードが大きく加速します。

合計37駅・107番線へのホームドア整備を目指す計画で、小田原線新宿駅〜本厚木駅間の全駅と、江ノ島線で利用の多い中央林間駅、大和駅、藤沢駅での設置完了が2032年度を目標に進められます。それ以外についても、駅の状況や関係自治体との話し合いにより整備を検討するとしています。また、ホームドア整備に合わせ、ホームと車両の間にある段差や隙間を縮小するため、ホームのかさ上げや櫛ゴムの整備が実施されます。さらに、設置済みのエレベーターやエスカレーター、運行情報提供設備の更新を行うことにより、安全性の確保や利便性の維持に努めていくとのことです。